「奄美の黒うさぎコン」第3弾

出演者全員による「六調」で盛り上がる「奄美の黒うさぎコンサート」

豊かな自然や文化表現
来場者から盛んな拍手

 【東京】神奈川県川崎市の麻生市民館大ホールで21日、「奄美の黒うさぎコンサート」(同実行委員会主催、川崎・しんゆり芸術祭実行委員会ほか共催)の第3弾があった。ステージでは、奄美ゆかりの出演者たちが「奄美の豊かな自然や文化」を表現し、来場者から盛んな拍手を浴びていた。

 「みどりと音楽のまち・奄美と川崎を繋(つな)ぐ」と副題の付いた同コンサートは、奄美の魅力を首都圏で広くアピールすることが主な目的。会場には約500人が詰め掛け、熱いステージを見守った。

 萩原かおりさん(昭和音楽大学教授)は、奄美の森を思わせるモスグリーンの衣装で登場。奄美のケンムンを題材にした絵本「ケンムンとぼくの夏」を歌物語にして初披露し、絵本作家・永田萠さんによる色彩あふれる絵を背景に熱唱した。シマ唄では、前山真吾さんと牧岡奈美さんが粋でつややかな大島紬で共演。息の合った会話に解説を加えながら圧倒的な声量で、「朝花節」、「くるだんど節」などを響かせ、観客席をうならせた。

 蛇三線ロックバンドのティダはコロナ禍で再注目され、20日からカラオケ(ジョイサウンド)でも採用された「テアライウガイ」などをパワフルに歌い、会場を熱くしていた。また、山ゆり会は赤木名集落の八月踊りを再現、島の空気を送り込んでいた。ほか、丸山和範さんのピアノ、仙道さおりさんのパーカッション、小濱明人さんの尺八がサポートした。

 フィナーレでは出演者全員による「六調」がホール全体を包み込み、観客も一体となってコンサートを堪能していた。ティダのファンでもあるという町田市在住の柴田珠里さん(53)は、パートナー・木下裕正さん(56)=NPO法人島まるごと応援団代表理事=とそろいの泥染めシャツでやって来た。「2015年に旅行で初めて訪れて以来、奄美に魅せられています。前山さん、牧岡さんのシマ唄はとても染みました」と満足そうに声を合わせた。

 前山さんは「川崎にもこんなに出身者がいて、とても励みになりますね」と各島のポスターが張られたロビーで、閉演を惜しむファンを笑顔で見送っていた。