課題解決し再推薦へ

課題解決し再推薦へ

ICTセミナーで講演した環境省那覇自然環境事務所の東岡所長

環境省世界自然遺産 延期理由やスケジュール説明
ICTセミナー

 ㈱NTTドコモは25日、奄美市名瀬の集宴会場で「ICTセミナーin奄美」を開いた。環境省から世界自然遺産登録に関した講演があり、IUCNの勧告の概要や延期理由が説明され、文化遺産候補との調整を経て来年2月の再推薦を目指す方針が示された。

 開会で同社取締役常務執行役員の法人ビジネス部古川浩司部長があいさつ。エリア特化型セミナーとしては沖縄に続き2カ所目で、「奄美には豊かな自然・歴史・文化があり、ICTの利活用が想定される地域。奄美の良さを発信することで、2020年夏に世界自然遺産登録が実現したらICTで貢献したい」と語った。

 講演会第一部は環境省那覇自然環境事務所の東岡礼治所長が講師を務め、「なぜ世界自然遺産登録を目指すのか―奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島―」を講演。「世界遺産は人類共通のかけがえのない財産。将来の世代に引き継いで行くべき宝物で、国内には文化遺産18件、自然遺産4件がある」と紹介した。

 IUCN(国際自然保護連合)が登録延期を勧告したことについて、遺産価値(クライテリア)の「生態系・生物進化」は該当しないとされたが「生物多様性」は可能性ありと指摘されたことを解説。課題として、▽外来種対策の推進▽総合的なモニタリングの実施▽実効性のある観光管理―を指摘。

 東岡所長は勧告の受け止め方について、「遺産の価値は否定されなかった。観光管理などの課題が明確に示され、推薦区域の設定も助言し確実な遺産登録の道が示された」と話した。

 世界自然遺産登録に向けたスケジュールを、国内の文化遺産推薦候補との調整を経て来年2月1日に推薦書の再提出があった場合、20年夏ごろに世界遺産委員会で登録の可否が決定となる見通しを提示。「登録延期の時間を、課題を解決してよりよい遺産にするための時間にするべき」と締めくくった。

 文化遺産候補としては先日の文化審議会で、「北海道・北東北の縄文遺跡群」を選出。ユネスコ(国連教育科学文化機関)は来年から、各国の推薦枠を文化遺産、自然遺産から1国1件に制限。政府は文化遺産候補と奄美・沖縄の自然遺産候補から1件のどちらかを推薦する見込み。