奄美農業の現状と課題発信

奄美農業の現状と課題発信

「マスコミ農業・農村研究会inあまみ」では奄美市果樹選果場などを視察し、知識を深めた

初のマスコミ農業・農村研究会
JA主催 ミカンコミバエ発生時対応など説明

 JA鹿児島県中央会は13日から14日の日程で、奄美大島でJAグループ鹿児島第26回「マスコミ農業・農村研究会inあまみ」を開いている。島内外の報道機関や広告代理店など約10社が参加。初日となった13日はサトウキビやタンカンなど奄美特産の作物に関連する施設を見学。JAあまみ担当者らとの室内検討会も行い、奄美群島の農業の現状や課題などを学んだ。

 JA県中央会は毎年、県内各地で同様の研究会を実施。報道機関等に農業・JAについての理解を求め、発信してもらうことを目的としている。奄美群島内での開催は今回が初めて。参加者からの要望でサトウキビの低糖度被害、2015年のミカンコミバエ発生時の対応などを重点的に説明した。

 一行は奄美大島到着後、同市笠利町のサトウキビ収穫ほ場、富国製糖㈱、同市名瀬の奄美大島果樹選果場の順で視察。選果場では見学の後、農家などからの講話もあった。同市名瀬で果樹園を営む平井孝宜さんは、タンカンと並行して栽培する「津之輝」、昨年夏に品種登録を出願したタンカン「平井Red」の特性を解説した。

 視察後、奄美市名瀬の宴集会場に移動し、室内検討会を実施。JAあまみの各担当者が、▽JAの取り組み▽奄美群島の農業の概況▽ミカンコミバエ発生時の対応などを説明。同JA大島事業本部果樹部会の大海昌平部会長は15年のミカンコミバエ発生時を振り返り、「初動体制が悪かった。短期で解決できたのは奇跡」などと話した。

 意見交換では参加者らが同JA担当者に質問。「世界自然遺産登録後、人の出入りが増え、病害虫が流入するおそれがある。何か対策をとっているのか」という参加者の質問に対し、同JA側は「口蹄疫の予防のため牛舎の前に石灰を敷いたり、ほ場の中に観光客を入れないようしたりしている」などと答えた。また、アマミノクロウサギによるタンカン食害など奄美ならではの話題には興味が集まり、メモを取る参加者らの姿が見られた。

 参加した㈱鹿児島放送(KKB)報道情報センター長補佐兼GE(ニュース編集長)の渡辺直樹さんは「新たな取り組みなどを聞けて良かった。今後特産品となる可能性のある作物などが少しずつ作られており、取り組みを県民に対し広げられれば」と語った。