職人体験ツアー、初企画

泥染めの工程に関心を示すツアー参加者(本場大島紬泥染公園)

関東や関西から来島 大島紬の工程学ぶ

 奄美の伝統工芸産業・大島紬の担い手不足解消につなげようと、自治体や業界団体が移住希望者を対象に募った「本場大島紬職人体験ツアー」が22日、奄美市内で行われた。参加者は期間中、図案から泥染め、製織まで一連の生産工程を学んだ。

 県予算を活用した、2019年度奄美大島伝統工芸産業支援(職人体験プログラム)事業の一環。紬生産反数の減少、技術者の減少や高齢化から後継者育成は急務として、奄美市、龍郷町、本場奄美大島紬協同組合などでつくる「本場奄美大島産地再生協議会」が事業主体となり、島内モニターツアーを初企画した。

 今回は関東や関西、九州から、紬製作に関心を持つ6組7人(10~50代の男女)が参加。参加者はツアー中、市内の各施設を巡りながら大島紬が完成するまでの工程を見学した。

 本場大島紬泥染公園(名瀬伊津部勝)では職人による泥染め、チップにしたテーチ木(シャリンバイ)を窯で煮出す作業を目の当たりに。柄の発色に泥が重要で、奄美の土地でしかつくれないとの説明に参加者は真剣な表情で聞き入った。

 そのほか同市産業支援センター(名瀬浦上町)では、柄の原図をパソコンで取り込む図案製作や締機=しめはた=による締め加工を学び、都成織物の仕事場では実際に色を挿す加工を体験した。

 参加者からは「作業をすごく綿密に行っている」「途中で間違うと、仕上がりに影響するので大変」などと感想を言い合っていた。

 再生協議会は産業技術継承の観点から、今後も移住希望者を対象にしたモニターツアーを推進したい考え。構成機関の同市紬観光課は「今回は奄美の伝統産業に触れる機会づくり。関係機関と連携して、担い手や移住につなげたい」と企画の意義を示した。

 初来島という兵庫県の女性(35)は「大島紬が分業制による工芸品で奄美でしかつくれないなど、伝統的な仕事に触れる機会になった」と話した。