県高校総体は中止

「生徒の命はかけられない」
県高体連

 【鹿児島】鹿児島県高校体育連盟は13日、常任理事会を開催し、今年度の県高校総体を中止すると発表した。10―11月開催予定のラグビー、11月の駅伝を除く全競技の中止が決まった。県高体連の石田尾行徳会長=写真=は「集大成となる3年生には大変申し訳ない。ただ高校総体は挑戦の場であって、命をかける冒険の場ではない」と苦渋の決断に至った想いを語った。

 例年、県総体は5月中旬から6月上旬にかけて開催予定だったが新型コロナウイルス感染拡大の影響で、6月3日の空手道からに延期を決め、無観客試合なども含めて開催の方向を模索していた。

 県内では5月に入って新たな感染者はなく、学校や部活動も再開されたが、「要警戒期間」は依然続いている。学校も感染防止のための分散登校などの対策を徹底しているところであり、「部活動も全員がそろって練習できず、土日の対外試合もできていない。公式戦に対する十分な準備ができない」(石田尾会長)状況だ。

 バスケットボール、バレーボール、柔道、剣道などの屋内競技は、密着、密接、密閉の3密を防ぐのが極めて難しい。今後暑くなれば熱中症対策なども必要になってくる。また奄美群島などの離島のチームは、フェリーなどの移動、ホテル宿泊が必要であり、クラスターを発生しやすい現状がある。

 様々な状況を考慮し「参加者の安全を確保できない」(石田尾会長)との判断で中止が決まった。県総体の中止は史上初めて。

 今後は集大成の場がなくなった3年生を中心に生徒たちの心のケアや救済案などが大事になってくる。石田尾会長は「感染拡大が収まり、練習が十分にできた段階で各競技専門部が主催となった大会」などを救済案として例示。「生徒たちが次の新しい目標に向かって進んでいけるように、指導者がケアして欲しい」と訴えていた。

(政純一郎)