県議会代表質問

離島からの搬送用バッグ44個配備
学習追加必要 高校42、中学20、小学17時間

 6月定例県議会は4日、代表質問があり、自民党の中村正人議員=霧島市・姶良郡区=、県民連合の遠嶋春日児議員=薩摩川内市区=が登壇。新型コロナウイルス感染症関係の答弁で離島における患者の受け入れ可能となる入院医療提供体制は、奄美医療圏の場合、5医療機関21床の病床を確保していることが報告された。本土等へ搬送する場合に収容する感染症患者搬送用バッグは、6月補正予算計上分を含めて今年度予算で44個追加配備される。

奄美医療圏5機関21床

 県内での感染者はいずれも県外を起因とする感染と考えられる中、特に離島地域では水際対策が重要となっている。三反園訓知事は「今月から人の移動が活発化することを踏まえて感染防止対策の徹底を呼び掛けるポスターを新たに掲示するとともに、市町村と連携し対応する人員を増やし機材を追加するなど対応の強化を図っている」と述べた。

 離島における帰国者・接触者外来の設置状況は地頭所恵・くらし保健福祉部長が答弁。帰国者・接触者外来は現在のところ種子島、屋久島、奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の計7島10医療機関に設置。地頭所部長は「離島で感染者が生じた場合、病状に応じてまず地元での入院を調整することになる。感染者が増加した場合などは島外の感染症指定医療機関に搬送したり、軽症者等を宿泊施設に振り分けることで適切に治療が受けられる体制を整備している」と述べた。

 帰国者・接触者外来や感染症指定医療機関のない離島の対応も取り上げられた。答弁によると、あらかじめ確保してある島内の結核関係医療機関、または一般病院の病床に入院が原則だが、▽感染者増加・症状重篤・島内に入院病床がない場合=島外の感染症指定医療機関に搬送したり、軽症者等を宿泊施設に振り分け▽離島で発生した患者の搬送=自衛隊または海上保安庁にヘリ等の派遣要請を行い、感染症患者搬送用バッグに収容した上で本土等に搬送―といった対応がとられている。

 学校への影響で臨時休業による学習の遅れについては東條広光教育長が答弁。県立高校については「4月22日~5月10日までの休業により42時間程度追加が必要」とし、市町村立の小中学校については県下全体で3月の休業による遅れを含めて「小学校で平均17時間程度、中学校で同20時間程度追加が必要」と報告。各学校では児童生徒、教職員の負担が過重とならないよう、時間割編成の工夫や学校行事の精査、夏休み等の長期休暇期間の短縮などで授業時数を確保していくとした。

 国体・全国障害者スポーツ大会への影響について知事は「10月の両大会の開催は難しいとの認識が両大会の会長やスポーツ庁長官から示されている」としたうえで、「現在は厳しい状況の中ではあるが、鹿児島国体を開催できるよう、さまざまな選択肢について努力し調整を行っているところ」と述べ、具体的な見通しには言及しなかった。

 なお、2月12日設置の帰国者・接触者相談センターへの相談状況は、5月29日現在で1万4498件に及ぶ。県内で感染者が確認された時期には1週間に1900件余りの相談があったが、直近1週間の件数は400件余りと減少していることが報告された。