親子で地域の「伝統漁法」学ぶ

網を引くタイミングを待つ子どもたち

漁の成果に大満足

宇検村・待ち網漁組合
村内観光体験プログラム利用

 宇検村芦検集落に伝わる伝統漁法「当間待ち網漁(トウママチャン)」の継承活動を行う芦検当間待ち網漁組合(藤野茂幸会長)は12日、村民を対象とした体験ツアーを実施した。新型コロナウイルスの流行にともなう観光事業者支援のため、村内の宿泊・体験・飲食プログラムの費用を村が全額助成する事業(うーけん発見!再発見!)を利用。当日は久志校区内の親子18人が参加し、地域の伝統漁法を学んだ。

 待ち網漁は同集落で100年以上の歴史を持つ伝統漁法。かつては生業とされていたという。現在は、観光客向けに体験ツアーを組むなどして伝統継承を図っている。今年3月には、同組合と(一財)あまみ大島観光物産連盟と共催で、初の一般向け体験ツアーを実施。島外へのPRを進めていく予定だった。しかし新型コロナの影響で島外の集客が難しくなり、同事業を活用した。

 午前9時、海にL字状に約120平方㍍の網をかけ(網打ち)、待つこと約3時間。参加者は、待ち時間に漁の方法や歴史などの説明を受けた。見張りのやぐらから合図がかかると、「引けー!」の掛け声で一斉に網を引いた。網にはカワハギやアジの一種である魚が7匹かかり、大歓声があがった。

 藤野会長は「きょうは種類も豊富で大漁。最近は地域の子どもたちが体験することがなかったので、いい機会だったのでは。また、今回の意見を参考にして今後に生かしたい」。村観光物産協会の伊村廣文会長は、「芦検以外ではなかなか体験できないこと。地域の希少な伝統を知ることが、子どもたちの誇りにつながれば」と語った。

 参加者の福山彩葉さん(小5)は、「初めての経験だった。普段する釣りとは違い力が必要で、昔の人の大変さを感じた。みんなで協力して楽しかった」と話した。

 体験終了後は、参加者からアンケートを回収、公民館で意見交換会を開き、ツアー内容のブラッシュアップを図った。回収したアンケートは今週中に村へ提出する。同事業は今月1日から来年度の2月28日まで実施。予算がなくなり次第終了する。