塩田氏が初当選

当選確実となり、鹿児島市荒田の選挙事務所駐車場で支援者らを前に笑顔を見せる塩田氏

候補乱立の激戦制す
投票率49・84%前回下回る若さと行政手腕に期待
現職に2万6735票差

 任期満了に伴う県知事選は12日、投票が行われ、即日開票の結果、元経済産業省九州経済産業局長で新人の塩田康一氏(54)が22万2676票を獲得、現職や元職ら有力候補を抑え、初当選を果たした。選挙戦は、過去最多の7人が立候補、保守系候補が乱立する激戦となったが、元官僚として地方創生などに取り組んだ実績と若さ、行動力などを訴えた塩田氏が、保守層のほか無党派など幅広い層に支持を広げた。投票率は49・84%で、2016年の前回(56・77%)を6・93ポイント下回った。

 知事選には現職と元職、新人5人の計7人が立候補。現職と新人の一騎打ちとなった前回選から一転、候補が乱立する展開となった。塩田氏と現職の三反園訓氏(62)=自民、公明両党推薦=、元職の伊藤祐一郎氏(72)=立憲民主党推薦=(いずれも無所属)の保守系候補3人が激しく競り合う構図となった。

 前回、三反園氏を支援した連合など野党勢力が塩田氏や伊藤氏らの支持に回った一方、伊藤氏を推薦した自民、公明両党が三反園氏を推薦するなど、支持組織のねじれが生じたほか、自民、公明両党の県議らも3候補を中心に支持が分散。終盤まで目が離せない戦いとなったが、最後は、候補者の中で最年少の塩田氏が、若さと行動力などを前面に出した戦略などで、わずかに抜け出した。

 塩田氏は、新型コロナウイルス感染拡大防止と経済立て直しを重点政策に掲げ、「県民の命と暮らしを守る」などと訴えた。自民、公明両党の推薦が受けられなかったこともあり、告示前は厳しい戦いも予想された。だが、現職が集票依頼に関する批判にさらされる中、連合の一部から支援を受け、川内原発3号機増設の凍結を公約に掲げるなど、野党勢力にも一定の配慮をすることで、無党派など幅広く支持を広げた。また、元官僚として培った30年の行政実績や中央とのパイプを強調、保守層にも食い込み、現職や元職など有力候補が乱立した選挙戦を制した。

 三反園氏は自民、公明両党の推薦を受けるなど組織を生かした選挙戦を展開、1期4年務めた知事の実績を強調するなど「県政の継続」を訴えたが、告示直前の集票依頼に関する批判などが影響、幅広く支持を広げることができなかった。

 伊藤氏は、県知事を3期12年務めた経験や実績と実行力を訴え、自民党県議の一部が支持に回るなど保守層を中心に支持を広げた。一方で、選挙期間中には立憲民主党の推薦を受けるなど野党支持層にも食い込んだが、一歩及ばなかった。

 青木候補は女性団体などを中心に浸透を図り、横山候補は川内原発の停止廃炉などを訴えた。有川候補は子育て支援などの社会保障を掲げ、武田候補は地熱エネルギーの活用を呼び掛けたが、いずれの候補も支持が広がらなかった。