農作物の生育阻害じわり

記録的な日照不足と季節風(塩害)の影響を受けたバレイショほ場=7日、天城町西阿木名
 記録的な日照不足は実エンドウ生育にも影響を与えている=7日、天城町兼久

記録的日照不足 バレイショや実エンドウ
徳之島

 【徳之島】奄美地方は昨年11月下旬以降、曇りと曇天が続き、12月の日照時間は観測史上最少を記録した。年明け後もなお続く日照不足により、徳之島地区ではJA共販の主要園芸品目「赤土新ばれいしょ春一番」の生育・肥大への影響が深刻視されている。同島西部地区では12月末の季節風(塩害)も重なった。光合成不足はほか実エンドウにも及んでいる。

 奄美地方は11月28日ごろから、気圧の谷や寒気の影響で、曇りや雨の多い日が継続。名瀬測候所などによると、名瀬の12月の日照時間はわずか28・8時間(平年73・4時間)、徳之島(伊仙町)でも68・5時間(同114・3時間)。いずれも統計開始以来、最も少ない日照時間を記録。同測候所は、農作物の管理などに注意を呼び掛けている。

 徳之島地区の今期産「赤土新ばれいしょ春一番」のJA共販計画(面積・量)は、▽JAあまみ徳之島事業本部(徳之島、伊仙両町)が280㌶、5000㌧▽同天城事業本部が170㌶、3397㌧、計450㌶、8397㌧(7日現在)。共販出荷の合同出発式は今月30日、コロナ禍に配慮し関係機関・団体代表のみで予定している。

 バレイショの生育を大きく左右するこの記録的な気象条件は想定外だった。同JA徳之島事業本部園芸課の叶貴嘉課長によると、種いもを植え付けた直後の11月は干ばつ傾向で発芽に影響したが、同下旬以降は曇天と雨天続きに一転。12月の記録的な日照不足からなお続く気象条件に、「軟弱徒長、生育遅延による肥大化の遅れ。病害の発生、被害拡大も予想される」と懸念。

 同JA天城事業本部畜産園芸課の寿山博課長も「日照不足はバレイショの肥大化に大きく影響を及ぼす」。天城事業本部管内ではバレイショのほか、高換金品目として人気が高い実エンドウ(今期共販計画5㌶、77㌧)の生育にも影響が生じているという。

 農作物などの葉緑体が、水と二酸化炭素を原料に光のエネルギーを受けて、炭水化物などの有機物を作り、酸素を放出する植物生理の基本の「光合成」。生産農家の一人は「天気の回復を待つしかない」と祈るような表情で話す。

 バレイショの気象被害関係ではほか、12月末の強い季節風(潮風)に伴う塩害が島の北西―西部地区の海岸部ほ場でダブルパンチとなって深刻化している。JA両事業本部は、日照不足対策と併せ「晴れ間をぬった病害虫防除の徹底を」とも呼び掛けている。