発達障がい児への支援方法をアドバイスした高山さん
チャレンジドサポート奄美(向井扶美理事長)主催の子育て支援講演会が2日、奄美市名瀬のAⅰAⅰひろば会議室であった。発達障がい児の療育や特別支援教育の在り方がテーマになり、特性を理解し能力を引き出すために①適した条件を探すための観察の重要性②ドーパミン(神経伝達物質の一つ)を環境で増やす工夫③学習スタイルの理解―などが挙がった。
講師を務めたのは、NPO法人えじそんくらぶ代表で臨床心理士・薬剤師の高山恵子さん。高山さんの専門はAD/HD等高機能発達障がい。自らも発症した当事者としての経験に基づき、こうした人々のカウンセリングと教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。講演会には各市町村の保育士や教育関係者、福祉施設職員、保護者など約180人が参加した。
講演会の演題は「育てにくい子なんて言わないで!特性を理解し、能力を引き出すためにできること」。まず高山さんはAD/HDの症状を説明。「常にうっかりがあり、決して努力不足ではない。何か刺激(新たな指示等)を受けると、それまでのことを忘れてしまう。本人は頑張っているのにうっかりを周囲が理解できるかで、ずいぶん変わる」。
特性として▽指示・やること・ルールを忘れる▽時間・もの・情報の管理が苦手▽集中力・衝動性をコントロールしにくい―などがある中、遊びを通してコントロールできることをアドバイス。「テレビゲームやコンピューターゲームでは衝動性をあおるだけ。囲碁や将棋、オセロなど質の高い遊びで楽しくトレーニングを」。
発達にアンバランスがあり、自分の努力では改善しにくい生物学的な特性を持ち、日常生活での支障(適応障がいやストレス、親子関係・対人関係のトラブル等)があるのが発達障がい。高山さんは「それぞれのタイプを理解し、その子に合わせて対応するのが大切」として、その子にあった条件を探す工夫を指摘。例として「走ったらダメ」→「歩こうね」、「触っちゃダメ」→「手はお膝に」を挙げ、「行動に対し『ダメ』と言わない。存在を否定する言葉を使うと、支援者として先生と子どもとの関係で、子どもからの信頼を失ってしまう」。
こうした言葉掛けはドーパミンにも影響する。「『半分しかできない』と言うよりも『半分できたね』と言うことでドーパミンが増え、子どものやる気スイッチが入る。ドーパミンが増える言葉を」。
特別支援教育の在り方では子どもの学習スタイルを理解した指示の大切さをアドバイス。「相手の視点に立てるかがポイント。子どもがわからない指示では雑音でしかない」として具体的な方法を説明。視覚型優位=マニュアル・視覚的な教材、聴覚型=口頭の指示・DVD教材、体得型=体験学習・一緒にやる―があり、高山さんは「相手に合わせ、相手が一番学習しやすいスタイルに変える取り組みを。音読教材も取り入れられており、一番いい方法をみんなで考えていきたい」と呼びかけた。