男子1区で先頭集団に食らいつく与論・有村(右端)と朝日・前島(左端)
【鹿児島】第64回男子・第28回女子県中学校駅伝大会は6日、指宿市の市営陸上競技場を発着点とする男子6区間20㌔、女子5区間12㌔で健脚が競われた。男子は帖佐、女子は田崎が、どちらも終盤まで続いた首位争いを制して栄冠に輝いた。
奄美勢は男子の与論が1時間4分53秒で堂々の3位入賞を勝ち取った。前回覇者の朝日も6位入賞と健闘した。喜界は20位、城ケ丘は23位だった。女子は亀津の11位が最高成績。赤木名は14位、犬田布は26位、金久は32位だった。
男女とも優勝チームが全国大会(12月13日・山口)、2位までが九州大会(11月28日・熊本)に出場する。
3位でも悔し涙
「航汰のために」でチーム一丸 与論
一昨年、昨年が23位だったことを考えても、与論の3位入賞は見事な成績だ。だがゴールした与論の選手たちに笑顔がない。涙さえ浮かべている選手たちもいる。「(垣内)航汰のためにもてっぺんをとる」(裾分啓生主将)と掲げた高い目標に届かなかった悔しさがあったからだ。
裾分主将と垣内の3年生2人は「このチームの精神的な柱」(村永一人監督)だった。本来はサッカー部だが、一昨年の県大会に1年生ながら2人とも出場して以来、駅伝に魅せられた。「自分1人が良くてもチームがダメなら良い結果が出ない。チーム競技だけど、自分との戦いでもある」ことに裾分主将はサッカーとは違う魅力を感じた。「一昨年、昨年がパッとしない成績だったから、今年は頂点を狙う」(垣内)意気込みでサッカーが終わった夏休み以降、駅伝に目標を切り替えた。昨年、朝日が優勝したことも刺激になり「それよりも南に優勝旗を持って帰る」(裾分主将)がチームの合言葉になった。
だが垣内が9月に左足を骨折。垣内と走るためには優勝して12月の全国大会か、2位以内に入って11月中中の九州大会を目指すしかない。走れない仲間の想いを背負って「航汰のために」とチーム一丸となって挑んだレースだった。1区で有村が3位と好発進。2区の裾分主将は前の2人を抜いて首位に立つも、別の2人に抜かされて3位。吉田、山野、喜友名も、後続の猛追をかわし3位をキープしながら、前を追ったが頂点には届かなかった。ゴールした2年生・小野寺佑太は「航汰さん、すいません」と思わず謝った。
走れなくなって以来チームのサポートに徹してきた垣内には「みんな、粘り強く走って力を出し切ってくれた」と思えたレースだった。目標には届かなかったが、裾分主将は「楽しんで走れた」ことだけは胸を張って言えた。
昨年の雪辱、晴らす 亀津
奄美勢女子は亀津の11位が最高成績。昨年は台風で地区大会に出られなかったので、山下健浩監督は「昨年の先輩たちの悔しさを、今年のチームが晴らしてくれた」と選手たちの頑張りをたたえた。
1区で春山聖が18位スタート。2区で24位まで後退したが、3区で1年生の春山華が区間5位の力走。7人抜きして17位まで順位を戻した。4区の2年生・北郷も2人を抜いて15位に浮上し、唯一の3年生・アンカー前田真京主将にタスキをつなぐ。「前に集団が見えていたので何としても抜きたかった」(前田主将)。5人を抜いて10位に上がったが、1人に抜き返されて11位。「目標が10位以内だったのに…」と前田主将は悔しがった。
チームは控えの1人も含めて6人全員が女子バレーボール部員。今年は校舎の改修工事があってグラウンドが使えなかったが、夏場から近くの山道を走り込んで鍛えた。
10月の地区大会の頃から「1人1人が目に見えて力をつけているのが分かった」と山下監督。地区大会は赤木名に次いで2位で県大会出場権を勝ち取り、県大会ではその赤木名に先着した。土曜日がちょうど校舎の落成記念があり、山下監督は「学校に良い報告ができる」と喜んでいた。
(政純一郎)