大島支庁で行われた奄美大島と沖縄島のマングース防除事業合同検討会
2015年度の第1回「奄美大島・沖縄島フイリマングース防除事業合同検討会」(環境省那覇自然環境事務所主催)が6日、奄美市名瀬の大島支庁会議室であった。奄美大島と沖縄島の14年度事業報告や15年度実施状況などを報告。奄美大島と沖縄の両方で進められるマングース防除事業の情報を共有し、今後の対応へ意見を交わした。
今回の検討会は奄美と沖縄が合同で実施。有識者9人による検討委員のほか、環境省やマングースバスターズなど関係機関から約40人が参加した。那覇自然環境事務所の西村学所長は「奄美では2022年度までの根絶が目標。奄美と沖縄で情報を共有しながら、より良い対策を取っていきたい」とあいさつした。
地域ごとの低密度化を進めている奄美大島では、わなによる捕獲と探索犬及びハンドラーによる捕獲の両方が行われている。14年度はわなが39頭、探索犬及びハンドラーが32頭を捕獲しており、8年間わなによる捕獲がない龍郷町の秋名・屋入エリアでは、継続的にモニタリングを実施するなど、「着実に生息密度が低下している」とみている。
一方で、低密度化することでより捕獲が難しくなることから、わなによる捕獲が難しい場所など局所的に残存している個体については、探索犬がマングースの生体臭気を探知し追尾するというピンポイント捕獲を実践。また、低密度地域においてもわなの設置は継続することから、在来種の混獲対策わなの開発や、わなや探索犬による防除が難しい場所に生息する個体に対する科学防除についても検討しているとした。
同じく根絶を目指す沖縄では15年度、やんばる地域中南部の比較的高密度の個体群の早期減少と、やんばる南部地域への侵入リスクがあるバッファーゾーンの低密度化を目的として防除事業を実施。低密度化した地域で探索犬を導入する奄美とは逆に、密度の高い地域で探索犬を導入している沖縄では、次年度のわなでの捕獲数が大幅に減少したと報告した。
また、オキナワトゲネズミの分布域内では、捕獲圧を高めることを目的に奄美で先行して導入されている延長筒わなを14年8月に導入。しかし、15年6月22日にオキナワトゲネズミの混獲死が1件確認されたことから、同月24日にはすべての延長筒わなを閉じたことなどを報告した。
委員からは「わなによる捕獲も探索犬による捕獲も、地域差、個体差があるのでどれが正解なのかはそれぞれの現場の意見を聞きながら進めてほしい」。また、「奄美とは違い、沖縄の根絶は正直難しいのではないか」という指摘もあり、「生態系の回復が重要。低密度の維持を目指すようにしてほしい」などと呼びかけた。