防除、生産補償「しっかり取組む」

奄美果樹農業の柱であるタンカン。移動規制で島外出荷できなくなることで影響は多方面に及びそう(資料写真)

19日、農水大臣に要請活動 金子衆院議員

果樹の害虫・ミカンコミバエの飛来により、奄美大島全域で植物防疫法による果実類全般と果菜類全般の移動規制措置が来月からとられる。島外への出荷ができなくなることでタンカンを中心とした果樹農業は大打撃を受ける中、自民党の金子万寿夫衆院議員=鹿児島2区=は国の防除対策や生産補償に対し「全力をあげてしっかりと取り組む」と強調。19日には地元関係者とともに森山裕農林水産相への要請活動を予定していることを明らかにした。

農水省によると、移動規制期間は2017年3月まで(終了時期は、今後の誘殺状況で見直す可能性あり)。対象植物は、ミカンコミバエ種群の寄主植物となる▽ポンカン、タンカン、スモモ、マンゴー、パッションフルーツ等の果実類全般▽トマト、ピーマン等の果菜類全般。

金子議員は「(11月2日までに確認された)ミカンコミバエの誘殺数は600匹弱。産卵を経て二世代、三世代と増えていくと影響が大きく、防除対策は今が正念場」とし、早期の防除を徹底すれば「希望的観測かもしれないが、12月以降に収穫期を迎えるポンカン、タンカン、スモモ、パッションフルーツ、マンゴーと来年の夏場頃までには収束できるのではないか」。そのためにも国の防除対策は「県・市町村と一体となって取り組まなければならない」。

特に地元市町村(奄美大島5市町村)の連携の必要性を強調。「地元でも対策協議会等を設置し、生産者とともに国・県の対策がしっかりと実施できる体制をつくってほしい」と要望。国や県が進める防除対策の浸透は地元側の協力が欠かせないだけに、産地側の主体的な取り組みが求められそう。

植物防疫法に基づき移動禁止区域内の対象果実で、廃棄命令が出たものは県が買い上げ、生産補償する。これについて金子議員は「庭先で栽培されたものを含めて全量買い上げる。予算については心配ない。買い上げは県だが、交付金により国が100%責任を持つ。生産者の生産意欲が落ちないよう、しっかりと取り組む」。

今回の問題で懸念されるのが風評被害。果実類の中でもタンカンは年生産額が4億円を超え、奄美の果樹農業のエースとなっている。JAの共販を通し島外への出荷だけでなく、それぞれの生産者が顧客を持ち個別販売で島外消費者の注文にも対応している。金子議員は「一人一人の農家がユーザーを抱えているが、島外出荷できないという説明を農家だけに任せてならない。農水省・県・市町村も一緒になり、統一的な説明文を作成するなど産地が足並みをそろえて風評被害を防ぐ取り組みが必要」と指摘する。

害虫の侵入防止へ防疫体制の強化を求める声もある。金子議員は「地元の声を農水省にしっかりと届ける。大臣は地元選出(鹿児島5区)の森山大臣だけに、奄美の実情も精通しており心強い。しっかりと連携していきたい」として19日に県、奄美の市町村、JAの生産部会代表らと一緒になり森山大臣への要請活動を行うとした。

金子議員は「有人ヘリコプターによるテックス板(誘引物質(フェロモン)と殺虫剤を塗ったもの)の散布へ航空会社との手続きも進めていると聞いている。奄美農業にとって重大な問題であり迅速な対応を働きかけていきたい。また、廃園や休園など放置されている果樹園の対応も重要。常時監視できる体制も求めたい」と述べた。