“龍郷色”豊かに国文祭

西郷や愛加那に縁ある人たちを交えたパネルディスカッション

大勢の来場者を魅了した大島紬ファッションショー

パネルディスカッション・ファッションショー
西郷南洲翁の足跡と大島紬

先月31から県内で開かれている第30回国民文化祭の期間の中日を迎えた7日、龍郷町では「西郷南洲翁の足跡と大島紬」と題したイベントを同町りゅうゆう館で開催。西郷隆盛とその妻・愛加那に縁の人たちを交えたパネルディスカッションなどあり、約3年に及ぶ島の暮らしや、愛加那との出会いによる西郷の心の変化を読み説いた。「紬の郷」らしく同日は出演者の他にも紬姿の来場者が目立ち“龍郷色”豊かな国文祭行事となった。

鹿児島大学教授で彫刻家の池川直氏が、制作した西郷と愛加那の木彫除幕式で幕開け。西郷松を活用し、構想から約2年かけて制作された力作に見物者から喝采が送られた。

国民文化祭混声合唱団によるオープニング、開会行事に続いて、志學館大学の原口泉教授が「奄美の西郷隆盛」を演題に講演。「明治維新を実現し、廃藩置県を成した西郷の四民平等の精神は、自然豊かな奄美での暮らしや、愛加那をはじめ島人との触れ合いの中で培われた面もあるだろう。そうした意味で西郷の島での3年間の暮らしが、日本の歴史に与えた影響は大きかったのでは」と推測した。

原口教授がコーディネーターを務めたその後のパネルディスカッションには、西郷のひ孫で陶芸家の西郷隆文さんや、母方の祖父が愛加那の流れを汲む家系の出である、昭和音楽大准教授の萩原かおりさんらがパネリストとして登場し、“西郷談義”を盛り上げた。

西郷塾を創設した安田荘一郎さんは「島人の心や精神文化は奄美が西郷に与えたものと言える」などと力説。萩原さんは「自然豊かな奄美を訪れ、愛加那について知れば知るほど、もっと知りたい、全国の人に知ってもらいたいと思うようになった。今後も『奄美の心』としての愛加那を伝えていけたら」と力を込めた。

「西郷・愛加那」のほか、もう一つのメーンテーマである大島紬の振興についても、それぞれのパネリストが熱弁をふるった。「銀座もとじ」代表の泉弘明さんは「和装業界はすでに底を打ち、最近では都会でも逆に着物を着る人が増え始めている。国際化が進む中、着物は日本人にとって自己を表現する最高の武器。今後は着物の良さが見直されていく」などと展望を語った。

この後、大島紬のファッションショーがあり来場者を魅了したほか、館内では大島紬展示・販売や西郷南洲翁資料展示、特産品販売、茶道接客などもあった。