徳之島地区 ミカンコミバエ「飛来」

徳之島町であったミカンコミバエ「飛来」に対する緊急対策会=7日、同町母間

初期防除対応へ 薬剤不足のカベ
徳之島町で緊急対策会

【徳之島】柑橘類や熱帯果樹、一部野菜など果肉を食害する特殊病害虫ミカンコミバエの奄美大島地区「再侵入」に続き、徳之島地区への「飛来」も確認されたことでJAあまみ徳之島地区果樹部会(松本幸徳会長)は7日、県や町当局を交え緊急対策会を開催。「飛来から定着を回避するには初期行動の防除が重要」であることを確認。決定的な情報不足、専用の誘殺薬剤品薄の〝二重苦〟の中で「飛来虫」を寄生・定着させない緊急措置の自主防除に乗り出した。

同島内では計45の誘殺トラップ調査地点(各町15カ所)の10月20日回収調査分までの誘殺数は「ゼロ」だったという。だが11月2日回収分の▽伊仙町内2地区(西阿権1、西犬田布1匹)での確認を皮切りに、▽天城町内6地区(三京6、与名間2、天城旧JA選果場・松原・岡前・浅間各1)▽徳之島町内3地区(花時名3、大原2、尾母1)。3町11地区で計20匹(未同定含む)=7日夕現在=を、国の植物防疫所や同島地区ミカンコミバエ等侵入警戒対策本部が確認した。

緊急対策会は徳之島町内への「飛来」確認を受けて、積極的な情報伝達による風評被害防止や自主防除態勢を敷くために急きょ開催。果樹部会員の生産者ら含め約25人が出席した。

同果樹部会の松本会長は「情報がほとんど入ってこないのが実情。(飛来数が)少ないうちに防除してたたけばどうにかなる。力を合わせて初期段階での抑え込みにご協力を」。県徳之島事務所農業普及課の担当者も「奄美大島は9月ごろからいたようだ。徳之島のトラップに入ったのは『飛来』と考えられ、今ならまだまだ数が少ない。防除の協力体制がしっかりと整えば広がることはないと予想。拡散防止対策が大事になる」。果実類への幼虫の寄生、再侵入・定着ないとの前提に基づき強調した。

協議では、擬似個体飛来情報(伊仙町内)を受けての侵入警戒対策本部設置(4日)や島内のトラップ調査、農水省植防所側の飛来虫防除対策の説明(6日)など経緯を説明。また、成虫はパパイア・グアバ・マンゴー・アボカドなど300種類以上の熱帯性の果実を宿主として利用。ミカンなど柑橘類やナス、トマト、ピーマンなど野菜類へも寄生することなどをあらためて解説した。

今後の対応では、①発生予察の確認の徹底(トラップ設置数の増加、調査間隔の週2回への短縮)②徳之島3町民への対応策の徹底(正確な情報の迅速な提供、幼虫の寄生果実発見時の通報、大島本島含め移動規制植物や果実などの持ち込み禁止)③風評被害への対応(市場・販売先への情報提供、消費者・報道機関への速やかな情報提供)などを確認した。

一方では、「飛来から定着を回避するための初期行動」の防除には誘引物質(フェロモン)と殺虫剤の調査トラップなどの奄美大島地区需要増(品不足)に伴い入手困難に陥っている厳しい現実が。緊急対応への苦肉の策として部会員たちは、ペットボトルを活用して誘殺容器を試作して設置。誘殺確認トラップの半径50㍍は代替殺虫剤(マラソン乳剤)散布で対応することを確認し、同日午後から着手した。天城町なども同様の対応を8日から行う。