徳之島3町長の感謝状を手に佐上理事長や第6回TNR参加の獣医たち=9日、天城町役場
【徳之島】徳之島3町長は9日、昨年11月から猫の無料不妊・去勢手術事業「徳之島ごとさくらねこTNRプロジェクト」(3町共催)を続けている公益財団法人どうぶつ基金(佐上邦久理事長)に感謝状を贈った。当初計画では来年1月(第6回一斉TNR)までの予定だが、佐上理事長は「世界初の壮大な社会的実験。成功させるには来年度以降も継続が必要」と理解を求めた。
TNR事業は行政など地元関係機関の協力で捕獲した野良猫をはじめ、希望する飼い猫を対象に、無料で不妊去勢手術を行い戻す事業。猫の産み過ぎを防ぎ「殺処分ゼロ」を目指す動物愛護の人道的手段のひとつ。世界自然遺産登録候補地の1つ徳之島での取り組みは、山林地域に侵入して野生化(ノネコ化)しアマミノクロウサギなどの希少野生動物の捕食・滅失被害を防ぐ観点からも注目されている。
同基金によると昨年11月の第1回事業実施以降~今月の第6回(今月5~9日)までの手術匹数は計1976匹(飼い猫481匹、野良猫1495匹)。町別の内訳は天城町843匹、伊仙町625匹、徳之島町518匹。手術のほかに血液検査やワクチン接種、ノミ・ダニ駆除などを換算すると「約6477万3千円(8日現在)の獣医費を3町に無償提供したことになる」という。
感謝状贈呈式は天城町役場であった。3町長を代表して大久天城町長が「世界自然遺産登録に向けた徳之島地域の現状を理解し、TNR事業でクロウサギほか希少動物の保護と、猫の適正飼育に多大の貢献をした」との感謝状を佐上理事長に手渡した。同理事長は「すぐ・やる・続けることが大事で、1つでも怠ると失敗する。今までは(猫も)殺処分が一般的だったが、成功したところはない。世界初の壮大な社会的実験であり、今後も手を抜かず続けることが大事」と理解を求めた。