奄美大島など4島の山間部や崖部に、計12万枚空中散布されるテックス板(写真は地上設置用)
奄美大島内でのミカンコミバエ急増に伴う緊急防除として県は16日から、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島の山間部や崖部へヘリコプターによるテックス板の空中散布を実施する。5市町村の散布面積は計4万422㌶で、12万1266枚の散布を行う。地上で行うトラップ、テックス板の増設作業と合わせ、ミバエの早期根絶を図る考えだ。
空中散布に関する計画は、県大島支庁農政普及課が12日に奄美市名瀬の自治会館で開いた記者発表で示した。同課の奥真隆課長によると、放任園や廃園、(寄主植物の)野生群落地、ゴミの不法投棄箇所など、人の出入りが困難な山間部や崖部に散布を実施する。国庫補助を財源に県が佐賀航空㈱と委託契約を締結。ミバエの侵入ルートを絶ち、密度を下げる観点から、2機体制で北部と南部に分かれて散布する計画という。
北部は16~18日まで奄美市笠利町、19、24日に龍郷町、25~27日と30日は同市名瀬で実施。南部は16~19日が瀬戸内町、24、25日は宇検村、26、27、30日に大和村、12月1日は同市住用町で散布する。予備日とする4日までに作業を終了する計画。
地区別の散布枚数は同市笠利約1万7700枚、同市名瀬約2万3200枚、龍郷町約1万4700枚、同市住用町約1万2900枚、大和村約1万4400枚、宇検村約9900枚、瀬戸内町2万8500枚。今回散布する地域周辺のトラップの誘殺結果で空中散布の効果を推測し、その結果に応じて次回以降の散布計画を立てる。
また、地上でのトラップ、テックス板増設については、「11月下旬までに資材を確保し、各市町村と連携してトラップは11月から12月上旬にかけて順次設置を行い、テックス板は12月中に増設していく」と説明。公道や林道、海岸線など、侵入経路と推測される箇所にトラップを80基、テックス板は2万6千枚設置する。
作業実施に伴い、住民には各市町村の広報紙、行政無線を活用した放送などで周知を図る予定。奥課長は「ミバエの密度を下げ、誘殺を減らすことで作業効果を高め、早期根絶のスピードアップが図れると期待している」と話した。
同課によると、テックス板に使用される誘引剤は植物由来の物質を抽出したもの。他の昆虫への誘引効果はなく、環境にも影響はないという。殺虫剤は1㌶当たり3枚を散布することから、「環境への影響はほとんどない」としている。