ミバエ種群の早期根絶に向けた対策について、森山農水相(右から2番目)に緊急要望書を手渡す公明党奄美ティダ委員会の遠山委員長(中央)
【東京】奄美群島の振興を目的に設置されている公明党奄美ティダ委員会(遠山清彦委員長・濱地雅一事務局長)は13日、タンカン等の対象果実に12月中旬から移動制限が予定されていることを受け、森山裕農水相に「奄美大島におけるミカンコミバエ発生問題に対する緊急要望」を実施。関係省庁とも連携し、ミバエ種群の早期根絶に向けた取り組みに配慮を求めた。
同委員会の遠山委員長は9日に奄美大島を訪れており、緊急に現地調査を実施した。奄美大島5市町村長や果樹生産者等と意見交換を行い、現状の課題と今後の見通しなどから事態の深刻さを把握。その際の意見をもとに、要望5項目をまとめた。
はじめに現状説明として、タンカン、ポンカン、スモモ、マンゴー、パッションフルーツ等の果樹農業が奄美の基幹産業のひとつとなっており、長期間の移動制限・禁止措置が行われれば大打撃を受けると危ぐ。「被害の規模は数十億円に上る可能性が高い」とし、果樹生産者をはじめ、流通・小売関係者の多くが生活の危機に陥る可能性があると指摘、対策を求めた。
具体的には①ミカンコミバエの防除・早期根絶に、政府をあげて取り組むこと。テックス板を用いた雄除去措置を早急に強化し、実効性の高い防除体制を構築、根絶の手法については他の有効な手段も検討する②植物防疫法に基づき、廃棄命令がでた対象果実の生産者に対する補償(買い取り)を迅速に行う。対象外果実の移動制限の管理体制を、政府・県・奄美関係市町村間の緊密な連携のもとに構築する③対象外果実の島内消費や加工品利用が法律上認められていることが早期根絶の障害となる可能性があるため、政府、関係自治体、生産者等の間で緊密に協議の上、全量廃棄も含めた適切な対応に努める④奄美大島産の果実等を扱う流通・小売業者への支援措置(相談体制の強化を含む)について、政府全体で検討し実施する⑤防除、根絶、生産者・関係事業者に対する支援に十分な人員を配置する――とし、政府に最大限の配慮を求めた。
森山農水相と面会した遠山委員長は、要望内容の説明に加え、意見交換で聞き取った現地の声を報告。「対象果実の生産者は全量廃棄を覚悟しているが、対象外の果実も廃棄する方が早期に根絶できる。対象外果実の生産者に対する補償の対応を」などとしたほか、「移動制限が行われることにより流通・小売業者の販路が断たれる。その間に別の産地のタンカンで販路が埋められてしまう」など、移動制限が解かれた後まで影響が続くことへの不安に対し、相談体制強化や支援措置の検討・実施を要望。また、琉球大学や滋賀大学では、ミバエ種群の別の除去方法を持っているとの情報から「他の有効手段があれば実施を」とあらゆる手を尽くすよう求めた。
これらの要望に対して森山農水相は「撲滅のために、様々なことを考えて対応していく」とした上で、「奄美の人たちは親戚や友人づきあいが深く、(自家栽培のものなど)大丈夫だと思って送ってしまうと広がる可能性がある。徳之島でも心配の声が上がっており、発生を抑える対応を協議しているところ。テックス板は実績があるが、他の除去方法も検討したい」とした。また、小売り・流通業者について「気になるところ」とし「融資制度などでしっかりやらせてもらえたら」などと話した。
要望活動を終えた遠山委員長は「現地に行き、予想以上に深刻な事態となっていることを肌で感じた。だからこその緊急要望」とし、早期根絶について「120日で根絶したい」と森山農水相が述べたことをあげ、「党としても同じ方向を向いていきたい」とミバエ種群根絶に向けて一丸となることを確認した。