ヘリによる空中散布開始

空中散布へテックス板をヘリに積む込む職員ら

2万1千枚投下
初日は笠利、瀬戸内町で

奄美大島内でのミカンコミバエ急増に伴う緊急防除として県は16日から、奄美大島など周辺諸島の山間部や崖部へヘリコプターによるテックス板の空中散布を始めた。2機体制で北部は奄美市笠利町、南部は瀬戸内町の加計呂麻島、請島、与路島、周辺無人島などで行い、初日は計2万1千枚を散布。来月上旬まで実施し、地上で行うトラップ、テックス板の増設作業と合わせてミバエの早期根絶を目指す。

空中散布は国庫補助を財源に、県が佐賀航空㈱と委託契約を結んで実施。ミバエの侵入ルートを絶ち、密度を下げることを目的に、放任園や廃園、(寄主植物の)野生群落地、ゴミの不法投棄箇所など、人の出入りが困難で発生が懸念される山間部や崖部へ散布を行うもの。

ヘリコプターが駐機する奄美市笠利町の奄美空港では同日、北部を中心に散布する機体へテックス板を積み込む光景が報道陣に公開された。同社社員によると、機体には機長を含む2人が搭乗。散布は午前、午後の計2回に分け、約2秒に1枚のペースで上空30~50㍍の高さからテックス板を投下したという。

県大島支庁農政普及課の奥真隆課長は、「駆除対策の効果が早期に現れて、一刻も早い根絶につながることを期待している。地上防除の増強として11月下旬から12月にかけてトラップ、テックス板の増設を合わせて行う。国、県、市町村、生産者の皆さんの協力をいただきながら、早期根絶に向け頑張っていきたい」と話した。

同課によると今回の計画では河川や水源地、牧草地への散布は行わない方針。奄美大島5市町村で実施予定で、予備日を含め来月4日までに約12万枚を散布する。散布地域周辺のトラップの誘殺結果で空中散布の効果を推測し、その結果に応じて次回以降の散布計画を立てるとしている。

 テックス板に使用される誘引剤は植物由来の物質を抽出したもので、他の昆虫への誘引効果はなく、殺虫剤は1㌶当たり3枚を散布することから、「環境への影響はほとんどない」としている。