ヤッコソウ見頃

シイの木の根に群生するヤッコソウ

根に寄生し、養分を受け取る

シイの木の側で観察
蜜求めて鳥や昆虫も

奄美大島の山中ではヤッコソウ(ラフレシア科)が見頃を迎えている。小さなかわいらしい姿が土の間から顔をのぞかせ、メジロやハチなどが蜜を求めて飛び回る姿を見ることも出来る。1~2月ごろまで観察できるという。

『琉球弧野山の花』(写真と文・片野田逸朗さん)によると、ヤッコソウは四国や九州南部に分布。山地の林内に生える無葉緑の多年生寄生植物で、シイの木の根に寄生する。栄養体は寄生植物の体内にあるため、シイから養分をとって群生する。

葉緑素を持たないことから、花茎は白色で高さは約7㌢~3㌢。開花当初はおしべが露出するが、子房が肥大するとともにおしべが脱落し、おしべ筒の中からめしべが現れる。子房は受精後赤くなり、甘みのある液果となる。種子は微小で、雨水や動物によって散布される。また、花には蜜液も多く、葉腋にたまった蜜にメジロや昆虫が来ることもあるという。

住用町の山中ではシイの木の根元で群生するヤッコソウを確認。写真家の常田守さんは「おしべを落とすタイミングを変えることで、ほかと交配できるようにするなど、戦略もおもしろい種。シイの木に寄生するので、条件が合えば、奄美の森ではいろいろな所で見つけることが出来るはず」などと話した。