公民館に避難。消火器使い方の実技を体験し、防災講話に耳を傾ける住民たち=29日、天城町兼久
【徳之島】天城町総合防災訓練(町自治会自主防災会・町消防団・町など主催)が29日午前、大規模災害に備え町内一斉にあった。全14集落の自主防災会を中心に住民796人が参加し、緊急避難や消火・救助など実践的訓練で「自助・共助」の意識を高め合った。
前日28日に奄美海上保安部(巡視船あまぎ)と計画していた「海上漂流者救助・孤立集落民搬送」の合同訓練は、平土野港内外の波浪などを勘案して中止した。
2011年3月に起きた東日本大震災の大津波被害などを教訓に、同年10月から昨年まで4回実施した「徳之島3カ町合同防災訓練」は今年で中断。代わって各集落自治会単位の自主防災組織による自主訓練に委ねられた。
一斉訓練を継続することになった天城町総合防災訓練は、大規模災害発生時の家屋や道路の被害に加えて予想される消火や救助、緊急的避難、電気・水道・ガス・電話のライフラインなどの途絶も想定。「いざという時に混乱しないよう、日ごろからの実践的訓練で各集落の防災意識・防災力を高め、地域の安全と自助・共助を図る」ことが目的(町)。
訓練は、各自治会自主防災会(会長・各集落区長)を中心に午前9時に始まった。住民たちは、地震・津波を考慮した町指定避難所や指定緊急避難場所など計17施設に次々と避難してきた。主催団体のほか地区消防組合天城分遣所、徳之島署(町内駐在所)、町地域女性団体連絡協議会(日赤奉仕団)、町社会福祉協議会なども協力。初期消火や非常炊き出し訓練、防災講話、防災用品の紹介なども実施した。
町防災担当によると、集落ごとの事前広報など自主的取り組みも奏功、参加者数は昨年の546人から796人(男362人、女434人)に増えた。課題としては「行政頼りの部分があり、自主自立的な取り組みが望ましい。参加者大半が80歳代の集落もあり、高齢者対策も課題」(町担当者)という。