県ウミガメ調査

鹿児島県のウミガメ上陸確認状況

上陸、産卵頭数大幅減
奄美は北部中心に減少

県は8日、県内のウミガメ上陸、産卵の確認状況調査結果を発表した。上陸は県内33市町村で確認され、前年度比3668頭減の3511頭。産卵を行った個体数は30市町村で、同2162頭減の2151頭といずれも3年連続で減少。上陸、産卵とも前年比で約半減した。県自然保護課は「原因は明らかになっておらず、次年度以降の結果を注視する必要がある」としている。

奄美で上陸が最も多く確認されたのは知名町の238頭。以下奄美市196頭、大和村127頭、和泊町106頭などと続く。瀬戸内町や和泊町、奄美市では200頭前後減少した一方、徳之島3町ではいずれも増加するなど5町で微増。奄美全体では前年度比705頭減の1058頭だった。

産卵頭数は与論町の184頭がトップ。前回調査では6市町村で100頭を超えたが、今回は奄美市(165頭)の2市町のみとなるなど減少が目立ち、喜界町では9年ぶりに産卵が確認されなかった。和泊町の例を除けば、上陸と同じく奄美北部の2島で減少傾向なのに対し、南部3島では増加している。全体では前年度比493頭減の752頭だった。

奄美海洋生物研究会の興克樹会長によると、ウミガメは数年に一度産卵する生態で、奄美近海には産卵を控えた個体が接近、上陸する。今年度は全国的にウミガメの上陸確認数が減少しているという。

県全体として上陸数が3千頭台に落ち込んだのは、07年度調査以来8年ぶり。興会長は「昨年も減少していたので、今年は増える予測だった。中期的な視点が必要だが、それにしても減少幅が大きい」と危ぐ。減少要因の可能性として生息数の減少や気象条件、自然状態の変化などを挙げ、「要因を確認するためにも、餌を食べるモニタリング調査を含め、来年の調査をしっかり行いたい」と話した。

同課によると、調査対象は海岸を有する県内39市町村。市町村の委嘱を受けたウミガメ保護監視員やボランティアが4~9月にかけて調査を行った。各市町村によって調査の期間や時間帯などが異なるため、正確な総上陸、総産卵頭数を表すものではないとしている。