ミバエ対応も盛込む

奄振予算確保などのほか、ミバエ種群への対応も盛り込んだ決議を採択(自民党奄振特別委員会)

自民党奄振委 奄振推進に関する決議採択
防除と農家支援措置

【東京】自民党政務調査会奄美振興特別委員会(保岡興治委員長・金子万寿夫事務局長)は8日、党本部で2016年度奄振予算などに関する会合を開いた。各省庁から予算編成に向けた取り組み状況などについて説明があったほか、「奄美振興の推進に関する決議」を採択。決議には、喫緊の課題となっているミカンコミバエ種群について防除と生産農家への支援措置についての文言も盛り込み、委員会終了後、財務省へ要請活動も行った。

決議の内容は①奄美群島振興交付金や公共事業費の所要額の確保を図ること②「奄美・琉球」の世界自然遺産登録、及び両地域の連携強化と交流活性化に向けて必要な措置を講ずること③重要病害虫ミカンコミバエ種群防除に関して必要な措置を講ずるとともに、生産農家等への十分な支援措置を講ずること――の3点。

決議文は、奄美群島が特別措置法による様々な施策が功を奏し、多大な成果が上がっているものの、地理的不利性からなる多くの課題に対応する予算が必要であることを訴えているほか、世界自然遺産登録に向けた取り組み、奄美群島12市町村が自立的発展に向けて一丸となっていること、奄振交付金の創設による新事業で観光入込客数が6年ぶりに70万人台を回復するなど、奄美振興が新たな段階を迎える機運が高まっている現状を示唆。一方で、ミカンコミバエ種群の再侵入による処置が奄美群島の農業振興に重大な影響を与えているなどとし、「奄美の持つ独自の役割と地理的、自然的、社会的特性に配慮しつつ、同じ南西諸島に属する沖縄との調和も十分考慮し、地域の自主的な取り組みに基づく各種の施策を総合的に推進していく必要がある」とした。

委員会では冒頭、保岡委員長が「交付金などの所要額確保が決定的に重要」とした上で、関係省庁によるミバエ種群防除や廃棄果実の買い上げなどについて、生産者から見て納得の対応が出来ていることに感謝の意を表明。「今後もしっかりと監視体制をとってほしい。基幹産業となっている果実も多く、何が何でも奄美の農業を守らないといけない」と強い意志を示した。

各省庁からは16年度奄振予算について、概算要求額確保にむけた取り組みについて説明があった。そのうち農水省は、予算に関する説明のほか、ミバエ種群侵入に対しこれまでの経緯と防除対策、誘殺状況などを説明。対策の効果があがっていることや「植物防疫法に基づく緊急防除の実施として、今年度テックス板の設置や廃棄対象果実の買い上げ等に係る経費を10/10で交付している」こと、果実の買い上げ、13日からポンカンの廃棄を進めることなどに関する現状説明があった。

奄美群島各市町村は多くが議会開会中のため、奄美からは市町村会副会長の伊地知実利和泊町長が出席。伊地知副会長は奄振予算やミバエ種群への対応・取り組みに謝意を示した上で「農産物の輸出入にかかる離島物価高を痛感している。その解消、発展のために、交付金を活用できないか」などと要望したほか、5年間の時限立法である奄振法が「折り返し」に来ているとして「奄美群島成長戦略ビジョン」実現に向けて強力に取り組んでいる奄美群島に対し、交付金制度をはじめとする、今後の力強い支援協力を求めた。