誘殺数1匹まで減少

2015年奄美群島におけるミカンコミバエ種群の誘殺状況~12月7日

メス駆除へ寄主果実除去を

農林水産省植物防疫所は9日、奄美群島におけるミカンコミバエ種群の誘殺状況(12月7日現在)を発表した。緊急防除区域の奄美大島(加計呂麻・請・与路島含む)の誘殺数は最新の12月1日から7日までの1週間で1匹となり、減少傾向が続き抑え込まれ状態だ。誘殺されているオスだけでなくメスの駆除に向けて同省では、寄主果実の除去の取り組みへの協力を呼び掛けている。

誘殺数の累計(9月1日以降)は緊急防除区域の奄美大島が857匹、同区域外27匹。前週(11月24~30日)までの累計は緊急防除区域856匹、区域外は同数。区域外は新たな誘殺はなかった。

最新週(12月1~7日)で誘殺数があったのは瀬戸内町だけ。他市町村はゼロ。緊急防除区域での誘殺は11月に入り3~9日153匹、10~16日93匹と推移していたが、ヘリコプターによる誘殺テックス板(誘引物質のメチルオイゲノールと殺虫剤を混ぜた木材繊維板)の空中散布が始まった16日以降は激減。17~23日33匹、24~30日7匹、最新週は1匹にまで減少した。

オス成虫誘殺による根絶方法が効果をあげているが、緊急防除事業では、県が実施している空中防除の回数増に向けて県補正予算案が2億6千万円追加計上された。年内の空中散布は終了した中、年明け後の実施時期についてはテックス板の有効期間(50~60日の約2カ月)や、誘殺状況などをみて判断する方針だ。状況によっては1月下旬から2月にかけて、当初予定を前倒して実施される場合もあるという。

テックス板によりオスが誘殺され、メスと交尾しないことから繁殖を防ぐことができる。一方で誘殺されないメスの駆除に向けて農水省は、寄主果実の除去への協力を呼び掛けている。徳之島などではテックス板設置と併行して同害虫が好む果実(熱帯果樹)を回収し、土中廃棄処分が進められており、同省消費・安全局植物防疫課は「奄美大島ではまだ手が回っていない状況。庭木として栽培している柑橘類や野生の植物でも寄主果実があり、産卵する可能性があるものはすべて除去してほしい」と指摘する。防除方法ではベイト剤などの薬剤をスポット的にまく方法がある。

メスの駆除に向けて農水省では対象となる寄主果実を掲載するカタログを作成。配布により周知していく。