福本地区で栽培されているタンカン。大和村では来週にも集荷を予定している
ミカンコミバエ侵入に伴う緊急防除により移動規制(島外出荷禁止)されているポンカンの廃棄処理が行われているが、「果樹の村」づくりが進められている大和村では、週明けにも果樹農業の主力・タンカンの集荷に入る。落下している果実もみられるため防除を兼ねた対応で、早ければ年内に出される廃棄命令に備える。
村産業振興課によると、ポンカンの現在までの集荷量は約2㌧。流通に乗せない自家消費がほとんどのため生産量はタンカンに比べ少量とみられており、16日まで申し込み(廃棄および買い上げ補償申請)を受け付け、18日に村有地(大和浜・大棚間にある村建設残土処理場)で廃棄される。
15年産の共販実績が約3㌧だったタンカンの生産量は約30㌧。福本地区を中心に栽培が行われており、盆地特有の寒暖の差の激しさが高品質のタンカンを生み出しており、果樹園は同地区の標高200~300㍍部分に存在。数㌶など大規模な面積を保有する農家が多い。
タンカンの廃棄・買い上げに備えて同課は21日にも集荷に取り組む方針。廃棄命令(緊急防除に関する省令に基づき植物防疫官が実施)が出ないと作業を進めることができないことから、集荷果実は湯湾釜選果場に保管する。タンカンは生産量が多い中、「青取り」が可能になれば集荷作業で多くの労力が必要になる。生産農家で組織する村果樹振興会(勝三千也会長、会員約80人)が行政への協力姿勢を示していることから、村は集荷や検量、廃棄などの作業で協力を要請。農家と行政が一体となり対応していく。同村は高齢農家が多いことから、全体でカバーしていく取り組みは早期根絶にもつながりそうだ。
手入れされていない放置園や、ミカンコミバエが好むグアバなどが庭木として敷地内にある空き家対策も防除の課題。村は10日に9カ所で集落説明会を行ったが、放置園・空き家の情報提供を呼び掛けた。産業振興課では寄せられた情報を地図に落とし、把握していく。同課の仲新城長政課長は「放置園や空き家での防除作業を進めるにあたっては所有者の承諾が必要。承諾が得られたら集落の協力も得て対策を進めていきたい。果樹の村として村民が危機感を共有し一体的な対策に取り組み、乗り越えていきたい」と語った。
同村が県内一の産地となっているスモモも移動制限基準日(16年2月22日)が定められている。ポンカン、タンカン同様、全量廃棄の対象(基準日以降にミカンコミバエの誘殺が確認されたトラップを中心として半径5㌔以内の区域を特定移動制限区域として設定、そこで生産されたもの)となる。