誘殺数ゼロに

2015年奄美群島におけるミカンコミバエ種群の誘殺状況

冬場の徹底した防除が左右
ミカンコミバエ

農林水産省植物防疫所は16日、奄美群島におけるミカンコミバエ種群の誘殺状況(12月14日現在)を発表した。緊急防除区域の奄美大島(加計呂麻・請・与路島含む)の誘殺数は最新の12月8~14日までの1週間でゼロとなり、抑え込まれた状態が続いている。気温が低下する冬場はミカンコミバエの行動が緩慢になる中、この時期の徹底した防除が今後を左右しそうだ。

奄美群島における誘殺数の累計(9月1日以降)は緊急防除区域の奄美大島が857匹、区域外27匹。区域外は2週続けて新たな誘殺はない。

緊急防除区域での誘殺は11月に入り、3~9日153匹、10~16日93匹と推移していたが、ヘリコプターによる誘殺テックス板(誘引物質のメチルオイゲノールと殺虫剤を混ぜた木材繊維板)の空中投下が始まった16日以降は激減。17~23日33匹、24~30日7匹、12月1~7日1匹、最新週はゼロとなった。

オス成虫誘殺による根絶方法が効果をあげている。緊急防除事業で県が実施している空中防除の回数増に向けて県補正予算案(2億6千万円)が追加計上されたが、2回目の実施時期はテックス板の有効期間(50~60日の約2カ月)や誘殺状況などをみて判断される。

奄美市住用町の果樹専業農家で、JAあまみ大島事業本部果樹部会顧問の元井孝信さんは「このところ12月でも最低気温が15度以下にならなかっただけに、誘殺状況が気になっていたが、ゼロとなり安堵している。スモモの移動制限基準日(来年2月22日)まで誘殺数がゼロ、あるいは少ない状態が続くよう空中防除を含めて冬場の対策でいかにミカンコミバエをたたけるかが重要になる。春先までの抑え込みに期待したい」と語った。

タンカン生産量が奄美大島全体の6~7割を占める最大産地の奄美市では今月10日にかけて、行政だけでなく若手農家も参加してのテックス板設置が名瀬地区で行われた。17、18日には住用地区でも予定しており、その後は笠利地区でも行われる予定。

元井さんは「廃棄命令を前にタンカンの書類受付(単価設定)も行われており、21日からは選果場に持ち込むこともできる。手で果実をもぎ取ることができる『青取り』なら、かなりの量の果実を取ることができ、農家の意向に沿った行政機関の対応はとてもありがたい」と語り、タンカンの再生産に希望を見出していた。

なお屋久島の誘殺状況は今月8~14日で2匹。ピークは11月24~30日の173匹だったが、その後は奄美大島同様、急激に減少している。