「奄美方言 島口ことわざかるた」

島口伝統と継承に向け、作成された「奄美方言 島口ことわざかるた」

島口の理解・継承へ
NPO作成「1家族に1セット」

NPO法人奄美島おこしプロジェクト(伊波興一郎会長)が奄美の方言「島口」の保存、伝承を目的に計画していた「奄美方言 島口ことわざかるた」がこのほど完成した。世代を超えて島口の継承に取り組んでもらおうと、約1千セットを作成。子どもたちへの島口の理解と継承を目指して、奄美大島各地の小学校の各クラスや公民館、図書館などに配布するという。

島口は2009年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「奄美語」として、消滅危機にある言語、約2500種のなかの一つに指定。過疎化や少子高齢化などで聞き取りのできる人も減少し、保存と次世代への継承が必要となっている。

同NPOは、島口を知らない子どもたちに興味・感心を持ってもらおうと、「シマユムタを伝える会」の山田薫さん(84)監修のもと、手作りのカルタを作成。13年から毎年2月18日の「方言の日」に、奄美市住用町の東城小学校で「島口ことわざかるた大会」を開催。児童らが手にした島口を暗唱しているなど一定の効果もみられ、学校などからも好評だったため、県の地域貢献サポート事業に申請。今回、認定され正式に制作が行われた。

同カルタは奄美の伝統のことわざ(ゆすぃぐとう)や格言など47首を選定。読み札、取り札とも標準語と島口が両面に書かれ、島口の部分は赤字で表記。「島口で読み、標準語の札を取る」、「標準語で読み、島口の札を取る」など、様々なルールで遊べるほか、島口だけで札を探すなど、百人一首の要領で遊ぶこともできるという。

今回の製品化に伊波会長は、奄美大島で、学校対抗の島口カルタ大会の開催を目標としながら、「1家庭に1セット。祖父母と孫が一緒になって島口について話せる機会になってほしい」と話した。