異例の〝師走ふ化〟

師走半ばにふ化が「初確認」されたアオウミガメの幼体=17日夕、徳之島町下久志海岸(提供写真)

アオウミガメ
徳之島町下久志海岸で確認

【徳之島】徳之島町の下久志=しもくし=海岸で17日夕、アオウミガメ数匹のふ化が確認された。徳之島うみがめネットワークの関係者によると「アオウミガメの産卵ふ化のピークは7―8月。12月のふ化確認は初めて」という。18日午後6時すぎ、あらためて産卵地点を発掘。砂中で弱っていた子ガメを含め約34匹を海へと救出した。

下久志海岸は同島有数のウミガメの産卵ポイント。ところが師走も半ばを過ぎた17日夕、地元住民が、神之嶺小下久志分校横の海岸の砂上で仰向けになるなどしていた「まさか」の子ガメを発見。連絡を受けた同島うみがめネットワーク代表の池村茂さん(59)と加島信弘さん(50)=いずれも県希少野生動植物保護推進員=らが、アオウミガメの幼体(甲長約5㌢)2匹を確認。この時点で砂浜にはすでに別の約6匹が自力で巣立った足跡があった。

「アオウミガメの産卵ふ化までの日数は同海岸だと平均約45日。9月以降は地熱が足りず『ふ化は不可能』視され、追跡調査も行われていない。10―11月のふ化確認例(徳之島島内)も聞いたことがない」と池村さん。

2匹のうち1匹が仰向けなっていた点には、「甲羅を冷たい風雨にさらされて弱ったためでは」と推測。17日午後6時ごろの気温は12度台(気象庁アメダス・伊仙町面縄)だった。

そして18日午後6時すぎ、「ふ化した子ガメがいれば2匹と同様、外気温よりも暖かい海に帰してあげたい。産卵個数とふ化率も調べたい」と仲間に呼びかけて発掘してみた。その結果約120個の産卵を確認。ふ化にこぎ着けながら砂中から脱出できず、弱りかけていた子ガメ32匹はカゴに入れて保護。家族連れで見学に訪れた子どもたちの手も借りて、暖かい海へと救出した。