「奄美と栃木の架け橋に」

奄美と栃木を文化で結ぶ―左から古田さん、佐久間さん、川畑さん

川畑さんの唄と三線が奏でる六調で、賑やかなフィナーレ

龍郷町出身・佐久間さんプロデュース 島料理、島唄や民謡で交流
宇都宮で島の風フェスティバル

【東京】龍郷町出身で栃木県在住、栃木奄美郷友会の会長も務める奄美観光大使・佐久間靖子さんプロデュースの「島の風フェスティバル」が20日、ホテル東日本宇都宮(栃木県宇都宮市上大曽町)で開催された。6回目となる今回は、フードコーディネーターでもある佐久間さんがホテルの料理長らと工夫を凝らし、島料理のフルコースランチでおもてなし。来場者は、栃木では珍しい島の食材をふんだんに使った料理に舌鼓をうちながら、島唄や民謡で奄美と栃木の交流を深めた。

同フェスティバルは、父の言葉をきっかけにして佐久間さんが「栃木県に生まれた田中一村を通して、奄美群島と栃木を文化の架け橋で結びたい」―という思いを抱いたことから始まった。栃木にはなかった奄美出身者の会として「栃木奄美郷友会」の設立準備委員会を一人で立ち上げ、フェスを通じて県内の奄美出身者とつながり、5年前には郷友会を発足。その後、奄美の唄者などを招いてフェスを重ねてきた。

今年は5月に開催したばかりだが、11月に奄美の島々で行われた「第30回国民文化祭・かごしま2015」に、佐久間さんの仲立ちで栃木の民謡歌手・古田佳子さん率いる「舞琉華瑠」が出演。奄美―栃木の双方向の行き来が実現し、奄美と栃木の架け橋が結べたことへの「感謝の気持ちを伝えたい」と、年内のフェス開催となった。 

毎回趣向を凝らした演出で好評を博しているイベントだが、今回は佐久間さんが島料理を食べてもらいたいとホテルの料理長に相談。「見たことも食べたこともない」奄美の数々の料理に苦心しながらも、佐久間さんのメニューとレシピを基に、フルコースを完成させた。

その料理は、前菜のもずくや佐久間さんが島から取り寄せた長命草のおひたし、シビの刺身、きびなごの南蛮漬けなどから始まり、ワンホネ、アオサや野菜のてんぷら、グルクンのから揚げ、黒糖焼酎を使った豚の角煮、鶏飯、油ゾーメン、島黒糖のクレームブリュレ、黒豆茶―と多彩。

瀬戸内町出身で現在は栃木県烏山市在住の松田(旧姓勝田)日出子さん(73)は、「油ゾーメンやワンホネが懐かしかった。一年間大変でもこの日があるから頑張れる」と笑顔で感想。奄美出身者には懐かしく、栃木県民には新しいコース料理は、一品が運ばれてくるたびにテーブルに笑顔と話の花を咲かせていた。

ステージでは民謡歌手の古田さんが、国文祭で訪れた奄美、喜界、沖永良部などの思い出をスライドで紹介しながら、ソーラン節や花笠音頭、えらぶゆりの花などを披露。また、喜界島の唄者・川畑さおりさんは、美しい島の風景をバックに島唄の説明をしながら、朝花節、いきゅんにゃ加那節、島のブルースなどを披露した。途中、関東在住の奄美ファンが、チヂンや踊りの応援で盛り上げ、最後は六調。同日の最低気温は氷点下となった栃木だが、シマッチュも栃木県民も笑顔で踊る会場は、暖かい奄美の風に包まれていた。

また会場では奄美の物販もあり、多くの人で賑わった。

最後にあいさつに立った佐久間さんは「栃木県で奄美の料理が出たのは初めてだと思う」と今回も多くの協力でイベントを開催できたことに感謝。「第7回の島の風フェスティバルは、ぜひ奄美でやりたいと思っています」と笑顔で語り、参加を呼びかけた。