寄主植物を一斉除去

在来柑橘を回収する職員ら

ミカンコミバエの好物となるグアバの木も、住民の理解を得て伐採した

住民も一体で根絶に協力
請島、与路島で瀬戸内町

瀬戸内町は21日、請、与路両島のミカンコミバエ寄主果実一斉除去を行った。同町や県大島支庁の職員のほか、地域住民など約60人参加し、島内で栽培、自生しているポンカンやキンカン、在来柑橘=かんきつ=類などを回収したほか、住民の理解を得て軒先のグアバなど樹の伐採を実施。行政、住民が一体となり寄主植物の除去に努めた。

同町が抱える有人3島では、少子高齢化に伴う人口減少による放任園も多く点在する。また特に与路島ではミバエ種群の好物であるグアバが多く生育されていることから、高齢化率が高く住民レベルでの完全な寄主植物除去の困難さを考慮し、今回同町を主体に2島で一斉撤去を行った。

同島での一斉撤去には約30人が参加した。午前中は道路沿いに自生する在来柑橘やグアバ、パパイアなどの果実を回収したほか、樹木を伐採。園地ではポンカン、キンカンなどの果実も回収した。

午後も引き続き作業を行うとともに、与路集落内の寄主植物を撤去した。一軒ごとに栽培している植物を確認し、寄主植物があれば住人の許可を得て果実の回収や植物を伐採。人が侵入できる箇所の果実については、確認できる範囲で回収した。

県大島支庁によると、今回撤去できなかったものについては数や場所を把握し、住民の協力を得て除去に努める方針という。

与路集落の保島豊区長(78)は、「集落には高齢者が多く、行政職員が来島して撤去作業してくれるのはありがたい。与路島からミカンコミバエを本土に行かせないよう、集落ぐるみで団結している。これからも協力して寄主植物の撤去に努めたい」と話した。

同町はミバエ種群の侵入以降、今月14日までに島内の市町村最多の690匹(9月1日以降の累計)の誘殺が確認されている。同町担当者は「地域住民の協力を得ながら、今後も職員による地上防除を進めるとともに、県が行っているヘリによる空中防除も合わせ、根絶を目指したい」としている。