渓流沿い森林など追加

奄美市名瀬で行われた第4回「奄美群島森林生態系保護地域保全管理委員会」

森林生態系保護地域保全管理計画を承認
管理委、年度内にまとめ
 林野庁九州森林管理局は22日、奄美市名瀬の奄美観光ホテルで第4回「奄美群島森林生態系保護地域保全管理委員会」(座長・米田健鹿児島大学名誉教授)を開催した。最終となった同会議では「奄美群島森林生態系保護地域保全管理計画」案を承認。今回の意見をふまえた上で、計画として年度内にまとめる。

 同委員会は奄美大島と徳之島の貴重な森林生態系を保護することが目的。2013年4月には奄美群島森林生態系保護地域を設定しており、第4回会議では3月の中間とりまとめに委員らの意見を追加した「奄美群島森林生態系保護地域保全管理計画」案を掲示した。

 中間取りまとめからの変更点は用語や表現が中心だが、保全管理に関する基本的事項に「渓流沿いの森林」と、「保全管理の考え方と重点事項」、保全管理に関する個別課題に「水資源の確保」の項目をそれぞれ追加。「渓流沿いの森林」については、渓流沿いに希少な固有の植物が分布することなどから、特に注視して管理する必要があると記している。また、「水資源の確保」については、台風の通過や降雨量の多さなどから水資源の確保が島嶼特有の最重要課題とし、河川周辺の森林を含めた取り組みが必要としている。

 案に対して委員からは、「関係機関やボランティアだけでなく、しっかりと教育を受けたプロの存在は必要」とし、「関係機関およびボランティア活動などとの連携項目をもっと広げるべきでは」という意見もあった。同案は年度内にまとめてホームページに掲載するほか、世界自然遺産登録に向けた推薦書の添付資料にもなるという。

 会議ではこのほか、今年度が初となる特定動物生息地保護林のモニタリング調査の報告や奄美大島と徳之島におけるスギ人工林の広葉樹林復元の検討などを行った。