和泊小4年・村山くん、世之主について調べる

世之主について調べた村山智昭くんと和泊町歴史民俗資料館の先田光演館長

「島民に親しまれている偉大な王」
全21ページの力作 来年、没後600年で展示

【沖永良部】和泊町立和泊小学校4年生の村山智昭くん(9)が、沖永良部を統治した「世之主」について調べた。夏休み期間を利用し、世之主関連の場所を巡り和泊町歴史民俗資料館に通い詰めた。全21ページにまとめた作品は、2015年度鹿児島県小学校社会科作品コンクールで努力賞を受賞。村山くんは「文章をまとめるのが難しかった。今度は、世之主に仕えた四天王を調べたい」と笑顔で語った。

村山くんが世之主に興味を持ったのは小学3年生の頃。「社会科見学で『世之主の墓』(和泊町)に行き、鹿児島県で一番大きな墓だと知った」という。さらに、曾祖母から今帰仁村(沖縄県)との関係を教えてもらい、1年後、夏休みの研究課題として取り上げた。

フィールドワークでは、世之主が誕生したとされる「世之主神社」(知名町)や、14~15世紀に琉球の船が出入りした「与和の浜」(和泊町)など6ヶ所を調べ、疑問点を同資料館の先田光演館長(74)に聞いた。

村山くんの調査に協力した母親のみゆきさん(34)は「関連する場所と資料館を何度も往復した。私自身、知らないことばかりで先田先生から多くの資料を提供してもらった」と感謝。

調査した場所は、文章や写真、手書きのイラストで紹介し、「世之主の墓」については、墓全体の構造や納骨堂の内部まで詳しく説明している。

村山くんは「世之主は妻と長男と3人で、島を守るために命を絶ち、大きな墓が残るほど島民に親しまれている偉大な王だ」と研究結果をまとめた。

12月4日、同町の戦没者追悼式典で、村山くんは世之主をテーマに平和の作文を朗読した。島民を思い自害した統治者の歴史から「戦うのではなく、自然を守り、人を思いやる気持ちがあれば、どの国もやさしさであふれる」と発表した。

同資料館の先田館長は「夢中になって調べていた。戦後70年と世之主を結び付けた作文も素晴らしい。多くの人に研究の成果を見てもらいたい」と語った。

来年は、伝説上世之主没後600年にあたる。資料館では、記念展の開催を計画中で、村山くんの作品も披露される予定。