奄美市で中学生模擬議会

奄美市の本会議場で開かれた中学生によるひかり議会

中学生質問で改善も
人口減対策など当局ただす 議会の仕組や市政理解

市内の中学生による模擬議会「奄美市中学生ひかり議会」が6日、同市役所5階の本会議場で開かれた。市内12校から中学生30人が参加。模擬議会を通して地域の防災対策や人口減対策、観光振興などについて市当局をただすとともに、議会の仕組みや市政に対する理解も深めた。

模擬議会は議員席に座った中学生と、市長をはじめとした市幹部職員が向き合い、本会議さながらの様相でスタート。保護者や各学校の教師、また同市議会議員らが傍聴席から様子を見守った。

各学校から一人が代表質問。トップバッターの小宿中2年・阿久根純名さんは島内の山々で目立つ松くい虫被害について質問。「世界自然遺産登録の推進やバニラ・エアの就航で観光客が増加傾向にあるなか、松くい虫の影響で奄美の印象が悪くなるのを懸念している」とし、被害の現状やその対策を尋ねた。

笠利中2年の若林果鈴=かりん=さんは「少子高齢化に伴う人口減も大きな問題。合併後の名瀬、住用、笠利の3地区における変化は何か」と当局へ質問。「奄美市になり笠利町以外の学校とも交流が増えた半面、不便さを感じているのも事実」などと指摘した。

一方、中学生の質問を機に改善が図られた事案の報告も。「朝日中学校前の歩行者用青信号は時間が短く、部活動生の下校時間など大変混雑して危険」との当田香涼=こすず=さん(同校2年)の指摘に対し、市当局は「現地を確認したが、ご指摘の通りとても短いと感じた。奄美署に相談したところ、みなさんが困っていることを受け止めてもらい13秒からわずかだが2秒延長してもらった。これからも歩行者の安全を見守りながら対応していきたい」と答弁した。

「学校で一晩過ごしたことは今でも恐い記憶」と2010年の豪雨災害時を振り返りつつ住用地区の道路・建物の浸水害対策について質問した伊波興輝くん(住用中3年)は「質問は緊張したが、(行政の)取り組みも少しは理解できた。納得の行く回答がもらえた」と話した。

奄美市議会の竹山耕平議長は「議会の立場で見ていて、若い視点の発想、柔軟な意見など大人とは違う観点に、改めて考えさせられたものがいくつもあった。今後の活動にも取り込んでいきたい。故郷・奄美を担っていくみなさんが、今回のひかり議会を機に身近な政治への関心をより深めていただけたら」などと感想を述べた。