土・日・祝日も受入れ

奄美市で進められているタンカンの廃棄作業

果実廃棄処理 兼業農家に配慮、スムーズ化
奄美市

ミカンコミバエ種群の緊急防除に伴い奄美大島ではポンカンに続きタンカンの廃棄処理が行われているが、奄美市では奄美大島選果場での受け入れを土曜・日曜・祝日も行っている。休日にしか作業ができない兼業農家への配慮で、生産農家からは「スムーズな作業につながっている」と歓迎の声が出ている。

廃棄・買上げは、販売実績資料提出による単価設定を踏まえて実施。処理場への果実持ち込み、検量、廃棄、支払という流れで進められており、奄美市では検量・廃棄についてはJAあまみ大島事業本部に作業を委託している。

奄美市の受け入れ窓口は、名瀬朝戸にある奄美大島選果場。農家による選果場への果実持ち込みは、年末年始休暇期間の関係で12月26日から今月4日まで出来なかったが、5日に10日ぶりに再開。以降、選果場での受け入れは土日、祝日関係なく毎日続いており、3連休明けの12日も専用のコンテナ(果実を入れる容器)を搭載した車両で混み合うことはなかった。

市農林振興課は「臨時職員も雇用して対応する職員をやりくりし、2月いっぱいは廃棄果実の受け入れを毎日行う。専業農家と異なり兼業農家は土日などの休日にしか作業(果実のもぎ取り・持ち込み)が出来ないだけに、すべての農家の廃棄が迅速に進むよう対応していきたい」としている。奄美市は奄美大島最大のタンカン産地だ。

同市住用町の果樹専業農家・元井孝信さんは、タンカンの廃棄処理を先月25日で終了。量は数十㌧単位に及んだ。「家族だけでなく2人を雇用し、果実の色がまだ青いうちでタンカンをもぎ取った。早期に取り組んだのは再生産に向けて樹に負担をかけないため。通常の収穫なら雨天時は控えるが、廃棄は関係ない。生産量の多い農家は、ほとんどが廃棄作業を終了している」(元井さん)。

市農林振興課によると、タンカンの廃棄では若手の専業農家を中心に作業での連携がみられたという。自らが持ち込まない場合、大型車両も提供して持ち込む農家の作業に協力。農家が相互に協力しあうことで廃棄量が大量でも短期間での終了につながっている。同課は「農家の連携の良さが、奄美市の果樹農業の成長に結びついている。ミカンコミバエを早期根絶して、来年はタンカンを島外に出荷できるようにしたい。そのためにも再生産に向けて管理作業(施肥、せん定、薬剤散布など)は手を抜くことがないよう、これまで通り進めてほしい」と生産農家に呼びかけている。