網野子トンネルで防災訓練

工具で車体を持ち上げ、要救助者の救助訓練を行う消防隊員

供用後初めて
行政、消防、警察など連携 迅速な対処めざす

奄美市住用町役勝から瀬戸内町網野子を通る網野子トンネル(全長4243㍍)で13日、供用開始後初となる交通事故を想定した総合防災訓練が行われた。大島支庁瀬戸内事務所や大島地区消防組合など、関係者64人が訓練に参加。昨年3月に供用が始まり、県内の一般道で最長となる同トンネル。参加者はトンネル内での被害の拡大を減らすために、迅速な対処を目指して訓練を行った。

同訓練は国の規定により延長1千㍍以上のトンネルで、努力義務で課されているもの。同事務所建設課によると、管内にある当該トンネルは3本あり、網野子トンネルでは共用前に消防訓練を実施。供用開始以降、同トンネル内での事故は発生していないという。訓練に伴い、同トンネルは午前8時~正午までの3時間半通行止めとなった。

訓練は同トンネル坑内(網野子側から約800㍍)で、網野子方面に走行中の普通自動車(1人乗車)が中央線をはみ出して、対向車と衝突し、後方を走行中だったバイクが追突した多重事故。バイク運転手が車両下部に入り込むなど、人が脱出不可能、燃料漏れにより火災の危険があると想定している。

現場を通った車の運転手が、非常通信施設を使って119番通報。駆け付けた消防隊員数人が工具などを用いて車体を持ち上げるなど救助活動を行い、事故関係者3人を救出した。さらに燃料に引火した想定で消防車両による消火活動を実施。煙による視界不良を防ぐため、トンネル内の換気施設を手動で作動させ、警察による現場検証まで行われた。

訓練を終え、名瀬消防署の師玉当洋署長は「トンネル事故は警察の交通規制や消防の初動など、事故の拡大の防止と関係機関の情報の共有が大切。各機関で連携を一体的に、事故の拡大防止に努めていきましょう」と話す。同事務所建設課の川原智明課長は「各機関十分に連携できていた。今後は個別の事態を想定した対応や地域住民への非常通信施設の周知が必要」と話した。