大寒波でサンゴ白化

奄美市笠利町の沖合で寒波の影響によるサンゴ礁の白化現象が確認された(26日、興克樹さん撮影)

急な温度低下でストレス
笠利町沖合興さん確認

 奄美地方で115年ぶりに降雪が観測されるなど24~25日にかけての大寒波の影響で、奄美市笠利町の沖合では急な海水温低下の影響によるストレスでサンゴの白化現象も確認された。ただ範囲や白化の具合は限定的で専門家は「大寒波でもっと深刻な状況も懸念された。軽度の白化で今後、徐々に回復していくと思う」としている。

 奄美海洋生物研究会の興克樹会長がやや寒気の弱まった26日に海中を調査し、サンゴの白化を確認。調査場所は2013年1月にも白化現象が確認された神の子および節田地区沖合の2地点。

 興さんによると、両地点でサンゴ群体上部の部分白化が確認された。ただ全体の1割程度の群体で軽度の部分白化だったことから、今後は回復が見込めるという。

 種や個体にもよるが、サンゴが生息に適した海水温はおよそ20~28度。海水温がこれより高い場合のみならず、低い場合も白化現象が起きるという。

 興さんによると、調査を行った26日の同地点の海水温は約20度で、笠利町で観測史上最低気温(3・7度)を観測した24日も20度前後だったと推測されるが、急な温度低下がサンゴにストレスを与えた可能性がある。また白化が見られたのは主にリーフの内側、比較的海面に近い部分で、サンゴ群体上部は特に冷気にさらされたとみられている。

 興さんは「奄美では115年ぶりの降雪も確認された大寒波だったので、もっと深刻な状況も懸念されたが、むしろ3年前よりも(白化は)軽度だった。今後、褐虫藻が戻り回復していくと思われる」と話した。

 サンゴ等の白化現象は、体内で共生する褐虫藻がなくなることで起きる現象。サンゴが一般的に褐色のものが多いのはこの褐虫藻の色によるもの。サンゴ等は、この褐虫藻が光合成で作りだす栄養分を吸収するが、褐虫藻は高水温あるいは低水温の状態が続くと離れていく。そのためサンゴが石灰質本来の白色に変色する。