新光源(赤色LED)の経済性や効果などが発表された=和泊町=
【沖永良部】革新的技術緊急展開事業成果発表会及び実需者との意見交換会(攻めの農林水産業(花き・南西諸島)コンソーシアム主催)が28日、和泊町防災拠点施設やすらぎ館であった。島内外から関係者70人ほどが参加。沖永良部で実証研究をしている新光源(赤色LED)の効果を確かめたほか、今後の切り花生産について島外実需者と意見交換を行った。
同事業は、農研機構生物系特定産業技術研究支援センターを事業主体に、新技術による農畜産物作りや大規模経営での省力・低コスト体系の確立などを目的に研究を行うもの。現在、全国各地で実証試験を展開している。
沖永良部では、和泊町と(株)エルム、農業・食品技術総合研究機構花き研究所などが連携し、2014年度から「南西諸島地域でのキク等花き生産における新たな光源利用技術の実証研究」に取り組んできた。今回、キクの効果的な電照技術や耐候性LEDの開発、LED電照栽培による安定効率的生産及び技術普及など、5項目の研究成果を発表した。県農業開発総合センター花き部の白山竜二部長は、赤色LEDの効果について「キクの花芽分化抑制に有効」「紫外線を出さないので昆虫誘因が少ない」と報告。県沖永良部事務所農業普及課の神園孝浩技術主幹兼技術普及係長は、スプレーギクをモデルにした白熱球とLEDの経済性について「LEDは導入コストが高いが、年間のランニングコストは白熱球の13%ほどに抑えられる」と示した。
発表会後、実需者との意見交換会を開催。(株)ファーマインド(本社・東京)の松永真理氏は、切り花の需要を伸ばすためには「花の鮮度とボリューム、価格のバランスが取れていることが大事」と話したほか、産地に対し▽実需者と連動した生産体制の確立▽使いやすいサイズとボリュームの生産▽生産履歴の開示―などを求めた。また、会場にはマレーシアやベトナム産のスプレーギクが並べられ、輸入物の特徴や沖永良部産との違いについて説明も行われた。