大島高に生物部復活

生物部で活動する星野君、久保君と岡野教諭(左から)

奄美の自然の魅力探ろう
動植物やノネコ問題も それぞれのテーマで発表

 2015年度4月から復活した大島高校生物部。2人の部員は陸上部や化学部と兼部しながらも、動物・植物というそれぞれが興味のある分野を中心に研究を進めている。顧問の岡野智和教諭は「2人には、奄美の動植物の希少性やノネコ問題など、地元の自然の現状について、正しく知ってほしい」と話している。

 同校には以前から生物部があったものの、部員がいなかったことなどから休止状態に。奄美の生物に惹かれて同校を受験した新潟県出身の星野蒼一郎君(2年)は「入学当初から生物部に入りたいとは思っていたけれど、先生に相談しても難しいという反応だった」と振り返り、個人的に週末、入学前から交流のあった奄美マングースバスターズの西真弘さんとともに生物の観察を続けていたという。

 部活再開のきっかけは岡野教諭の赴任。岡野教諭は「大島高校には生物部があると知っていたが、現実は休止状態だった。星野君の話を聞き、声をかけた」と説明。1年生の久保駿太郎君が入部し、本格的に活動をスタートさせた。

 現在、星野君はヒメハブやカエルなどをメインに、久保君はシダ植物を中心にノネコ問題などについても研究している。久保君は奄美のシダ研究会にも加入し、大人と一緒に観察会にも参加。「小学生の頃から植物採集が好きだった。部活に入ったきっかけは、パソコンで調べてみても研究している人がいなかったので自分で調べてみようと思ったから。今は学校のヒカゲヘゴから胞子を採取し、培養しているところ。春休みにはシダの種類を増やして、種類による成長の違いや分布との関連などを調べたい」と説明。また、シダ研究のほかにも、ノネコに関するパンフレット作りにも取り組んでいるという。

 陸上部と兼部しながら活動する星野君は「人数が多い方が研究できる内容も広がるので、部員は多い方がうれしい。今後はマイクロチップを使ったヒメハブの個体識別調査などにも挑戦できたら。今は観察や研究が中心だけれど、将来は環境保護に関する仕事をしていきたい」と話した。

 2人はそれぞれの研究のほか、環境省や地元団体が主催する自然観察会やシンポジウムなど時間の都合がつく場合は積極的に参加している。また、10月末には星野君が奄美野鳥の会の会報に寄稿した原稿をきっかけに、生物部の復活を知ったOBから、望遠鏡やデジタルカメラ、三脚、録音機、図鑑(植物・野鳥)など備品寄贈もあった。

 2人は沖縄大学地域研究所の第14回ジュニア研究支援も受けており、20日には沖縄大学で行われる公開研究発表会への参加も予定している。