キビ収穫期のみ販売の「伐採パン」

喜界島のみで、期間限定で販売されている「伐採パン」

喜界島限定、製造中
島人の心の味・懐かしの味

 奄美群島の各地でサトウキビの収穫の最盛期を迎えているなか、喜界島では収穫期にのみ販売されるお菓子がある。喜界町塩道にある㈲山口製菓(山口英夫社長)が製造している、通称「伐採パン」。喜界島のみで製造・販売されており、地域の人たちに愛されている。

 「伐採パン」は元菓子職人だった山口社長が1973年に考案した菓子パンで、甘さ控えめのカステラ生地にバタークリームを挟んだもの。サトウキビの収穫・製糖作業の合間のお茶請けなどに需要が高く、12~3月までの期間限定で、多い時で一日360個を製造する。同社では通年で黒糖菓子なども製造し、島外にも出荷しているが、製糖時期に入ると売り上げの約1~2割を「伐採パン」が占めるという。

 関東・関西にある喜界町の郷友会からも注文があるほか。喜界島出身者の中には、個人で50個注文するほどの愛好家もおり、喜界島出身者にとっての「懐かしの味」として定着しているようだ。

 2月に入り、製造も折り返し地点。残りの販売期間に向け、山口社長は「サトウキビ生産者の力の元になっているとうれしい。パンの味を、子どもたちにも、季節の風物詩として楽しんでもらいたい」と話した。