特定外来生物駆除へ研修

オオフサモの繁殖状況を視察する参加者ら

龍郷町で行政担当職員
河川生息視察 「対応の継続大切」

 県大島支庁衛生・環境室と奄美群島広域事務組合は9日、外来植物の駆除にかかる現地研修を龍郷町の大美川水系で行った。県自然保護推進員の宇都宮英之さんを講師に招き、特定外来生物に指定されているオオフサモやボタンウキクサなど、河川内での生息状況を視察。参加者は今回視察した種がもたらす生態系への影響や駆除方法などについて理解を深めた。

 河川や道路に生息する希少野生植物の保護、特定外来生物の駆除に対応するため、県や市町村の建設、土木、環境など行政担当課の職員を対象に研修を実施。今後、工事発注などの際に対応を協議し、施工業者などへの指示などに役立てることが目的。同支庁主催による研修会は初めて開催した。

 参加者らは龍郷町の大美川、半田川の上流や汽水域など3カ所で、繁殖するオオフサモを視察。宇都宮さんはオオフサモについて「根を深く張り、水があるところで強く繁殖する。駆除は重機などで根から掘り起こし、捨てる際も注意しないと逆に繁殖地域が拡大する。3月から活性期に入るので、駆除は今の時期に行う方がよい」と話した。

 同じく特定外来生物のボタンウキクサについては、「小さい株があり、全駆除するのは難しい」と指摘。雑草類と混在するアメリカハマグルマについては、「草刈りや重機による撤去が有効」とした上で、「特定外来生物は駆除して終了ではなく、その後の経過によって対応を継続することが大切。一種類ずつ駆除していかないといけない」と呼びかけた。

 また宇都宮さんは特定外来生物を巡る駆除対策について、「マングースなど哺乳類生物はきちんとした体制で対策しているが、植物に関してはボランティアに頼っている」と強調。奄美大島の自然保護に向け、①特定外来生物の駆除体制②希少野生植物の保護③全体的なマネジメント―の体制を確立する必要性を訴えた。

 10日は、奄美市住用町の三太郎峠で希少野生植物の保護に関する現地研修を行う予定。