生活根差す風習興味

郷映ラボの中川さん 奄美の旧正月など視察

 日本各地の伝統文化などを映像に収める団体「郷土映像ラボラトリー(郷映ラボ)」の中川美帆さん=写真=が奄美を訪れ、5泊6日の日程を終えた。9日に奄美新聞社を訪れ、今回の活動を説明。大和村や加計呂麻島を回り、郷土料理などを学び「生活に根差した伝統の収録に、今後も活動を継続していきたい」と語った。

 映像ラボは昨年3月に結成。東京などで毎月数回の日本各地の伝統文化などを伝える映像作品の上映会や、郷土料理に関するワークショップなどを行っている。

 今回の目的は旧暦で行事を行う奄美の旧正月の位置づけについて。中川さんは各集落を回りながら、NPO法人「TAMASU」の案内で大和村の国直集落で豚骨やツワブキを使った郷土料理を学んだほか、加計呂麻島の須子茂集落で、ノロの祭壇「アシャゲ」を見学した。

 各集落を回り、多くが新暦に合わせた行事を行っていた一方、高齢者のなかには旧正月に集まる約束をする人も。「形式は新暦だが、旧正月の意識は心の中に残っているようだった」と中川さん。新たに鉄骨から木造に建て替えられたというアシャゲについては「現在バス運転手の区長さんが設計を行ったそう。地域住民が様々な役割を担っていることに驚いた」と話した。

 各地の風習、文化に強い関心を寄せる中川さんだが、「単なるイベントとしての祭りに興味があるわけではない」と話す。中川さんが探求するのは、文化風習が育まれた背景である地域住民の生活も含むためだ。「各地の節句や行事は本来、人々の生活の節目から生まれてくるもの。映像に収める中で、地域住民の生活の背景を知りたい」(中川さん)。

 次回の目標は4月9日(旧暦3月3日)にある「サンガツサンチ」の「浜下れ」。「一連の儀式の流れを映像に収め、多くの人が奄美のことを知ることに活用したい。活動は長期間に及ぶが、少しずつ地域の方々と顔見知りになっていきたい」と今後の活動に熱意を見せた。