奄美大島の山中で新種確認

アマミチャルメルソウの開花株と花の拡大写真=独立行政法人国立科学博物館提供=

国立科学博物館発表 世界でも半世紀ぶり「きわめて希少」

 独立行政法人国立科学博物館(林良博館長)はこのほど、奄美大島でユキノシタ科チャルメルソウ属の新種を発見したと発表した。奄美大島在住の生物研究科・森田秀一さんが発見したもので、同種は世界でも56年ぶりの新種となっている。

見つかったチャルメルソウの新種は「アマミチャルメルソウ(学名Mitella amamiana Y・Okuyama)」として、同館の奥山雄大さん(植物研究部多様性解析・保全グループ研究員)が論文発表した。このアマミチャルメルソウは、森田さんが奄美大島の山中で2011年3月に発見。その標本が地元の植物研究家を通して同館に送付されたという。これまで奄美大島ではチャルメルソウの仲間が自生するという記録はなく、同館で植物の形態や遺伝子情報を詳しく調べたところ、これまで知られていたどのチャルメルソウの種とも異なることが判明した。

同館によると、チャルメルソウ属は、その果実の形が楽器の「チャルメラ」に似ていることが特徴。北米および東アジアの温帯林で20種が知られている多年草。ほとんどが20世紀初頭までに発見されたもので、以降の新種は1959年のミカワチャルメルソウを最後に発見されることはなかったという。国内では屋久島に分布するヒメチャルメルソウが分布の南限で、奄美大島以南には存在しないと考えられていた。

同館ではアマミチャルメルソウは個体数も少なく、きわめて希少(国際基準で絶滅危惧IB類に相当)ということから、自生地を厳重に保護することが重要と説明。国立科学博物館筑波実験植物園で研究用に栽培している約10株を増殖し、研究用として日本全国の植物園に配布するなどして、絶滅のリスク軽減に取り組むとしている。

また、同植物園絶滅危惧植物温室では現在、アマミチャルメルソウの開花株を特別公開している。期間は21日まで。

問い合わせは℡092‐851‐5159まで。