地域づくり検討会

奄美群島の地域づくりについて意見を交わした検討会メンバーら

不便さも魅力に
国立公園指定・世界自然遺産

2015年度奄美地域の国立公園指定・世界自然遺産登録に向けた地域づくり検討会「『世界自然遺産』奄美の環境文化と地域づくり」(環境省那覇自然環境事務所主催)が6日、奄美市名瀬の奄美観光ホテルであった。環境省などが奄美群島の地域づくり方針案などを示し、参加者と意見交換。公開鼎談では、島外に住む人の目線で、現在の島の魅力を生かした自然保護や観光への取り組みの在り方などについて語った。

今回の検討会には佐藤友美子さん(追手門学院大学地域創造学部教授)と向原祥隆さん(㈱南方新社代表取締役)がゲストスピーカーとして参加した。

第1部では同検討会の座長・小野寺浩さん(鹿児島大学客員教授)とともに公開鼎談を行い、奄美群島の自然や文化の魅力についてそれぞれの思いを紹介。「奄美は観光地っぽくないが、それが魅力。ゆっくり生活できる素材がある」としたうえで、「良かれと思って余分なものを作らないように気を付けてほしい。特に商業施設などの参入はよく考えなければならない」「遺産登録を目指すなら、島中の人が、もっと自然に敏感にならなければ。若い人たちなど、いろいろな意見を聞いた方がいい」などと語った。

第2部の意見交換会では、国立公園指定や世界自然遺産登録に向けた進捗状況と今後の取り組みを各関係機関が報告。環境省では奄美大島と徳之島それぞれにおける拠点施設整備のコンセプト案と、奄美群島の地域づくり方針の案を紹介。▽既存拠点機能強化▽一島一生物運動など、取り組み予定の6事業について説明した。県自然保護課や大島支庁は、16年度当初予算案から観光振興事業に関する説明もあり、世界自然遺産登録に向けた各種事業計画について報告した。

参加者からは「観光客が増えると島の良さが失われることもある。不便な中でも見てもらう努力、ある程度の不便さを残すことも必要。苦労して奄美を楽しんでもらう方が、リピーター確保につながる」「子どもの頃は自然に関する制限は何もなかったけれど、古くからの教えなど生活の中でこの自然は守られてきた。こうした考え方は、これからも大切にしてほしい」などの意見があった。

会ではこのほか、国立公園指定に向けたパブリックコメントが始まらない現状から、遺産登録作業の進捗状況を尋ねる場面もあり、県や環境省があらためて、「18年の登録を目指し取り組んでいる」と語る場面もあった。