11週連続誘殺ゼロ

ミカンコミバエ

次世代抑え込み「地域住民の協力を」

 農林水産省植物防疫所は9日、奄美群島におけるミカンコミバエの誘殺状況(3月7日現在)を発表した。最新週の3月1~7日までの誘殺件数は緊急防除区域内外ともにゼロ、緊急防除区域の奄美大島(加計呂麻・請・与路島を含む)の誘殺ゼロは11週連続。しかし気温の上昇により成虫の活動が懸念されていることから、関係機関は次世代となる幼虫の発生を抑え込むため、引き続き地域住民の積極的な協力を呼びかけている。

 緊急防除区域の奄美大島の誘殺は、昨年12月15~21日の週に2匹(宇検村と瀬戸内町で1匹ずつ)確認されて以降ゼロが続いている。喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島の緊急防除区域以外は12月1~7日の週から14週連続の誘殺ゼロ。また、2月23~29日の週に1匹の誘殺(伊平屋島で)が確認された沖縄県は、今回はゼロだった。

 ミカンコミバエのまん延防止・根絶に向けて国、県、市町村は連携して計画的な防除活動を展開。①発生状況を確認するトラップの増設と調査回数の増加②オス成虫を誘殺し、交尾機会を少なくすることでハエの密度を下げるためのテックス板の設置(人力による設置とヘリコプターによる散布)③主に島外出荷されていた果実の買上げと廃棄④寄生する可能性がある寄主植物の調査と除去―で、このうち航空防除は3度目を実施中。

 有人ヘリコプターによる航空防除は今回、これまでで最多となる24万枚を投下する計画だが、天候に左右されている。実施されたのは2日(一部)、3日、4日、7日、8日の5日間(累計10万9500枚投下)で、9日も雨天などで中心となった。当初予定していた12日までに終了は延びる可能性もあるという。

 ミカンコミバエの誘殺数はゼロが続いているが、冬場でもグアバなど寄主果実から幼虫が確認されており、地中に蛹=さなぎ=も存在することから、こうした潜在的な発生要因が懸念されている。県大島支庁農政普及課の奥真隆課長は「次世代の発生を抑え込み、スモモは島外出荷できるようにしたい。そのためにも放任園や庭木、空き家などに残っている寄主植物のうち、活用しない果実の除去を徹底しなければならない。地域住民の協力のもと除去作業を進めていきたい」と語った。

 ポンカン・タンカンの柑橘=かんきつ=類に続き、スモモが移動制限基準日(2月22日)を迎えている。収穫期の5月まで誘殺数のゼロが続けば、スモモは島外出荷が可能になる。

 なお、同課のまとめによると、果実の買上げ・廃棄量は奄美大島合計(3月4日現在)で1813・1㌧。2月29日で全市町村での受け入れが終了したタンカンが1513・9㌧と、全体の83・50%を占めている。