徳之島「春一番」 収穫・共販進捗が低迷

価格好調にも複雑。少ない晴れ間をぬい収穫作業に励む生産者たち=16日、伊仙町

病害で収穫放棄も
雨続きの収穫遅延で病害を誘発、全収穫放棄の畑も

雨天続きで価格好調も複雑
病害の弊害も顕著化

 【徳之島】JAあまみの徳之島地域「赤土新ばれいしょ・春一番」の共販出荷の進捗率が例年比の35~50%台に大幅低迷している。長期の断続的な雨で収穫作業が滞っているのが原因だ。新ばれいしょの品薄で生産者手取り価格(㌔)は「230円」=16日現在=と好調だが、多湿による病害の弊害も顕著化。生産地泣かせの天候が続いている。

 同地域「春一番」のJA共販は1月30日、▽徳之島事業本部(徳之島・伊仙両町)が310㌶、4500㌧▽天城町同が230㌶、3200㌧の計7700㌧、目標額15億円を掲げ、合同出発式で始まった。ところが、例年3月中旬の出荷進捗率は70~80%台に達しているが、今期は▽徳之島事業本部1700㌧(約37%)▽天城同1500㌧(約46%)台=16日現在=と大幅に停滞。両選果場も稼働効率の面から度々の運転休止を余儀なくされている。

 雨天続きによる耕土の過湿で、いも掘り取り機の運用や土落としなど収穫作業ができないのが原因。ちなみに、2月(降水量104㍉)は土壌が乾く降雨ゼロの最長日数はわずか4日間。3月(16日合計現在72・5㍉)は最長5日間。皮肉にも2、3日間隔の断続的な雨で耕土が乾く間がなく、収穫不能を強いられる日々が続いている。

 一方でJA共販の平均価格は、先週末ごろの販売分から200円台(生産者手取り)に乗り、最新で「230円」。徳之島事業本部園芸課によると、この市場相場の背景は、1月下旬の大雪・冷害で県本土の出水地区が当初計画の約50%減、肝属地区にいたっては約70%減産となるなど「全国的な品薄」がある。

 16日午前、家族や知人ら総動員で収穫作業に励んでいた女性(80代)は「値段が良くても、雨続きで収穫ができないのが悩み」。近くには雨続きで「消毒できずに疫病にやられ、すべて収穫放棄した畑も」と複雑な表情。

 JA同事業本部園芸課は「収穫遅延に伴う発芽の防止など、品質の維持・管理さえしっかりすれば、今年のこの相場は今後も続くと思う」と話した。