気温上昇前に果実撤去

グアバの果実撤去を行うパトロール参加者

奄美大島側集落で合同パト 瀬戸内町

 瀬戸内町は17日、ミカンコミバエの早期根絶に向けた合同パトロールを奄美大島側の町内集落一円で実施した。町や県の担当職員のほか、町農業振興会果樹部会の会員ら約20人が参加し、取り残された果実撤去や寄主植物のせん定作業などを実施。果実に寄生した幼虫は今後、気温上昇に伴い羽化する可能性もあることから、町では地域住民らと連携し、3月内の果実全撤去に努める方針だ。

 ミバエ種群が寄主する約270種の中で、特に「好適果実」となるグアバなどは多くが集落周辺に自生していることから、集落近くが発生源になっているとされる。誘殺数は同12月22日以降12週連続でゼロが続いているが、幼虫が寄生した果実はグアバを中心に、町内でも多数確認され、誘殺数ゼロが続いている今年1、2月にも発見されている。

 このことから町や県では、町内の各集落で寄主植物の除去を展開しており、特に誘殺数が多く「ホットスポット」となっていた加計呂麻島、請島、与路島の3島は優先的に作業を進め、ほぼ作業は完了。続いてまだ果実が残っている奄美大島側の防除を強化するため、気温上昇によりミバエの活動が活発化する前に果樹部会員らと合同でパトロールを行った。

 作業は3班に分かれ、町内の3方向から中心街の古仁屋方面へ向け巡回をスタートした。南部班は同町蘇刈集落から徒歩でパトロールを開始。集落内にはグアバやビワ、在来柑橘=かんきつ=など様々な果実の取り残しがみられ、所有者確認後に果実除去・回収した。また、2~3年内の着果防止を図る観点から、5月をめどに伐採や低樹高化などの予防策を講じるため、寄主植物の生育場所も地図上に記載していた。

 作業に参加した果樹農家の一人は、「一日も早くミカンコミバエが根絶して、育てた果実を島外に出荷できることが私たち農家の願い。そのためにも農家や役場職員はもちろん、住民にも協力をいただき、自分たちでできる防除対策をしていく必要がある」と強調。

 町農林水産課の田原章貴主査は、「住民の協力もあり、思ったよりも果実の取り残しは少なかった。早期根絶するためにも、ミカンコミバエが活発化する前に果実の全撤去を終えたい」と話した。

 町や県などは今後も継続して集落パトロールを行い、果実撤去や寄主植物の伐採に努めるとしている。