「ふるさと納税」テーマに講演

㈱トラストバンク代表取締役須永氏が講師を務め、「ふるさと納税と奄美の活性化」をテーマに講演を行った

地域活性のツールに
奄美市10周年事業 事例紹介、効果示す

 奄美市市制施行10周年事業・講演「ふるさと納税と奄美の活性化」(奄美市主催)が18日夜、同市の奄美文化センターであった。ポータルサイト「ふるさとチョイス」を運営する㈱トラストバンク代表取締役の須永珠代氏が講師となり、ふるさと納税制度の解説のほか、各自治体の取り組み事例を交え、制度が地域活性に及ぼす効果について講話。須永氏は「シティープロモーションの最大ツールになる。自治体だけの問題でなく、住民も含め全体で考えてほしい」と呼びかけた。

 ふるさと納税は2008年に創設された制度で、個人が2千円を超える寄付をある自治体にした際に、住民税の約2割が還付・控除され、対象の自治体からは返礼品が贈られる。総務省のデータでは、2011年の全体納税額は約650億円に上った。

 2015年、納税額の最も多かった自治体は宮崎県の都城市で額は約35億円。また、250以上の自治体に1億円以上が納税されたという。その中で、佐賀県玄海町の事例を紹介。人口約8千人の同町への納税は約11億円。一次農産物が返礼品の中心となっていたが、額が増えるに従い生産量が追いつかず、その後6次産業化を図り、さらに品数を増やすことにつながったという。

 納税者の多くが東京などの都市圏に住む人で、7府県で全体の8割を占める。各自治体からの返礼品には、市場に出回らないものも多くあり、その中で果実類の人気も高いという。

 須永さんは自治体の税収源の一つ、地方交付税が減額傾向にあることにも触れ「ふるさと納税により、国全体の税収が増えていることもあり、国も力を入れている。ふるさと納税市場は2兆4千億円くらいと仮定しているが、最近の傾向を見てもこれから伸びていくことが予想される。地元の生産者・事業者、自治体、寄付者三方がウィンウィンになれる。ぜひ活用してほしい」と話した。