オオトラツグミの「さえずり調査」が実施された(写真は金作原原生林内)
野鳥の会 過去最高の106羽確認
奄美大島のみに生息し、国の天然記念物に指定される野鳥オオトラツグミのさえずり一斉調査が20日早朝、同島を縦断する奄美中央林道であった。さえずり数は106羽で1994年の調査開始以来、過去最高を確認。NPO法人・奄美野鳥の会の鳥飼久裕会長は「オオトラツグミの生息環境が整い、順調に増えている」と話した。
生息環境の悪化などによる個体数の減少が深刻化したことから、同鳥は環境省のレッドリストで絶滅危惧種Ⅱ類に指定。同NPOは、希少な同鳥の生息数把握と保護を呼びかけるため、繁殖期を迎える3月頃にボランティアを募って、島内での「さえずり」調査を実施。今年で23回目を数える。
この日は、島内外からボランティア142人(学生約40人)が参加。奄美市名瀬から宇検村までの中央林道約42㌔区間を8班に分かれ、担当する調査員が2人1組でルートを歩いて、同鳥の鳴き声を聞き取った。
2㌔ごとに配置された調査員は、午前5時過ぎにスタート。コースを往復して、「キュロロン ツリィー」という特有のさえずりを確認すると、地図上に時間と方角を記入した。
今回、2013年調査(96羽)を上回る結果について同会は、外来種駆除や生息域の森林保全などの要因を指摘。好天に恵まれ聞き取りしやすかった調査状況も挙げ、鳥飼会長は「学生のボランティア参加も増えた。普及活動を通じて、自然保護の機運が高まってくれたら良い」と語った。
同市名瀬の飲食業・進保宏さん(48)は「市街地の近くに希少な野鳥が多いことを実感。将来残すべき自然や動植物を守るためにも、観察や調査に協力したい」と話した。