紙人形展でしのぶ

恒吉さんの1周忌に開催された「紙人形展」

恒吉佳子さん1周忌
情景豊かな作品の数々

 元奄美市母子寡婦福祉会会長で、昨年3月に亡くなった恒吉佳子さん(享年87歳)をしのぶ「紙人形展」(奄美市母子寡婦福祉会主催)が20・21日、同市名瀬のAiAiひろば2階で開かれた。恒吉さんは生前、母・寿=とし=さんが作った紙人形で、平安時代の貴族や大名行列、昔ながらの遊びに興じる様子などを再現。来場者は情景豊かな作品に目を奪われた。1周忌を迎え、恒吉さんの次男・清水潔さん(68)は「母の思いが込められた作品を多くの人に見てもらいたかった」と開催の意図を語った。

 数㌢~10㌢ほどの人形が着た着物は、包装紙や菓子類の包み紙、割り箸袋などを再利用したもの。髪結いや髪留めも異なる。会場には、貴族の宴や茶会など宮中の様子。また、竹馬や花いちもんめで遊ぶ子ども、なぎなたや弓を持つ女学生など多くの作品が並び、人形のしぐさや道具の細かさに注目が集まった。

 恒吉さんは滋賀県出身。戦前渡った中国で父親を亡くし、母やきょうだいとともに鹿児島に引き揚げ。その後、編み物普及のために移住した名瀬市(当時)内で、「ひまわり編み物教室」を開講した。

 親族によると、1994年に他界した寿さんは幕末期の大老・井伊直弼の家老の子孫。紙人形づくりの技術もその流れを受け継いだもので、生涯3千点以上を制作。その後、恒吉さんは自宅に眠る紙人形を使った創作活動に取り組み、過去3度、市内で作品展を開催し話題を呼んだ。

 同会の大江満智子会長は、恒吉さんが会長時代に取り組んだ社会貢献を評価。「紙をリサイクルする工夫は現代でも通用する。恒吉さんの意思を受け継ぎ、人形は親族や教室の関係者とともに大切にしたい」と話した。