【鹿児島】第138回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第5日は24日、鹿児島市の県立鴨池球場、鴨池市民、姶良市の姶良、3球場で2回戦7試合があった。
奄美勢は、攻守ががっちりかみ合った第3シード大島が川辺に五回コールド勝ち。奄美は序盤の劣勢を挽回できず、鹿屋に敗れた。なお県立球場第1試合で予定されていた大口―薩南工戦は、大口が部員のインフルエンザで欠場したため、薩南工の不戦勝だった。
第6日は25日、県立、市民の両球場で3回戦6試合がある。奄美勢の対戦は組まれていない。
【評】大島は初回に4番・上原の犠飛で先制。三回は、二死から3番・磯、4番・上原の連続長打で2点目を挙げ、この後も打線がつながり、この回4点を奪って主導権を手繰り寄せた。五回も二死から5安打を集中して5点をダメ押した。先発の左腕・渡は緩急を生かした投球で四回二死まで無安打。ヒット1本打たれて新元にスイッチ。新元が空振り三振に打ち取り、1時間のスピードゲームで寄り切った。
【評】5点を追いかける奄美は二回裏一死一塁から7番・大野が右前打。右翼手が後逸する間に一走・傳が生還し1点を返した。大野も本塁を狙ったが、返球で阻まれた。五回は一死二塁から1番・西の左翼線二塁打で2点目を挙げた。八、九回はエラーが絡んで失点。後がなくなった九回に一死満塁と好機を作り、9番・中原の右前適時打で1点を返して意地をみせたが、反撃もここまでだった。
ハイライトカラー
【2回戦・大島―川辺】3回表二死一三塁、8番・吉見が右前適時打を放ち5―0とする=鴨池市民
大島がシード校の地力を発揮し、危なげなくコールド勝ちした。
12安打11得点と効率の良い攻めができた。特筆すべきは三回の4点、五回の5点は、いずれも二死無走者から奪っている。「各打者がよく振れていて長打も出るので、一塁からでも帰ってくることができる。小細工をせず、オーソドックスに攻められる」と渡邉恵尋監督。3番・磯は3安打のうち長打が2本で1打点、4番・上原は先制の犠飛をはじめ、3安打4打点、全打席で打点をたたき出す勝負強さを発揮した。
昨秋からの主力メンバーだけでなく、この春にスタメンを勝ち取った「新戦力」も活躍した。
6番・當田陽太郎は昨秋、背番号13で左の代打だったが「自分にとっての最後の高校野球を悔いなく終わりたい」意気込みで冬場徹底して振り込んできた努力を買われ、背番号3を勝ち取った。三回に右前適時打を放つなど、2安打1打点の活躍だった。
代走の切り札だった8番・吉見圭太郎も三回に右前適時打を放っている。五回二死からは、左前打を放ち、すかさず盗塁を決めて9番・國分の中前適時打で生還、5得点の口火を切った。持ち味の足だけでなく「大きな当たりはいらない。野手の間を抜く打球を打つ」自分の特徴を生かした打撃でチームに貢献した。
エース渡は緩急を生かし、わずか49球の「省エネ」投球。初安打を許してから、右下手の新元にスイッチし、期待通りの三振で完封リレーだった。攻守がかみ合い、1時間のスピードゲームながら、内容盛りだくさんの試合ができた。
(政純一郎)
【2回戦・奄美―鹿屋】2回裏奄美一死一塁、大野(右)が本塁を狙うもタッチアウト=県立鴨池
奄美にとっては悔いの残る敗戦だった。相手の力に打ち負かされたからではなく「ストライクをとる、アウトを確実にとるといった部分がしっかりできなくて」(下野政幸監督)敗れた。
初回、先発のエース白畑が5四死球と乱れ、早々とゲームプランが狂った。3人の投手をつぎ込んで投手陣は立て直したが、喫した5失策がことごとく失点に絡んだ。
攻撃でも地に足のつかないプレーで波に乗り切れなかった。二回は一死一塁から7番・大野が右前打。右翼手が後逸する間に一走が生還し、1点を返したが、本塁を狙った大野は返球で刺された。五回は1番・西が左翼線二塁打を放ち、2点目を挙げたが、2番・中村の右飛で二走・西が飛び出してしまい、併殺で反撃の芽を断たれた。
「初回の失点でみんなが焦ってしまい、思い切ったプレーができなくなってしまった」。
箕輪鉄馬主将は悔しがる。冬場のトレーニングを経て、身体も大きくなり「技」「体」の自信はつけたつもりだったが、肝心な「心の部分がまだまだ足りなかった」ことを思い知らされた。「心をしっかり鍛えなおし、夏までには守備からリズムが作れるチームに成長する」ことを誓っていた。